ギータ・ゴピナート
筆頭副専務理事
ギータ・ゴピナート氏は2022年1月21日付で国際通貨基金(IMF)の筆頭副専務理事(FDMD)に就任した。この役職では、職員の業務を監督し、多国間フォーラムでIMFを代表するほか、加盟国政府、理事会メンバー、メディア、その他の機関とのハイレベル関係を維持する。サーベイランス(政策監視)活動や関連方針に関するIMFの業務を統括し、調査や主要出版物の監修も行う。
ゴピナート氏は2019年から2022年にかけて、IMFチーフエコノミストとしてIMF経済顧問兼調査局長を務めた。「世界経済見通し」の執筆を計13回に渡って主導し、その一環として、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが世界経済に与える影響の予測も行っている。共同執筆した「パンデミックペーパー」では、新型コロナのパンデミックを終息させる方法を詳説し、国際的な支持を集めて世界ワクチン接種目標を設定した。同ペーパーは、パンデミック終息の支援に向けてIMF、世界銀行、世界貿易機関(WTO)、世界保健機関(WHO)の指導者で構成される多国間リーダーズタスクフォース設置につながった。また、低所得国と低中位所得国へのワクチン配送を加速させるために、貿易障壁や供給のボトルネックを特定し、ワクチン製造業者との作業部会を設立するきっかけにもなった。IMFの他局とも協力して、政策当局者や学者、その他の利害関係者と新たな解析アプローチに取り組み、統合的な政策枠組みを通じて各国が国際資本フローに対処できるように努めた。また、最適な気候緩和政策などを分析するために、IMF内で気候変動チームの設立にも尽力した。
IMFで職務を開始する前には、ハーバード大学経済学部ジョン・ズワンストラ記念国際学・経済学教授(2005-2022)、それ以前にはシカゴ大学ブース経営大学院の経済学助教授(2001-2005)を務めた。国際金融とマクロ経済学を中心とする研究は幅広く引用され、経済学の代表的な学術誌の多くに論文を発表している。為替相場、貿易と投資、国際金融危機、金融政策、債務、新興市場危機に関する研究論文を多数執筆。
ゴピナート氏はアメリカ芸術科学アカデミーと計量経済学会のフェローに選出され、シンクタンクG30(Group of Thirty)のメンバーでもある。以前には、全米経済研究所(NBER)にて国際金融・マクロ経済学プログラムの共同ディレクター、ニューヨーク連邦準備銀行の経済諮問委員会メンバー、ボストン連邦準備銀行の客員研究員などを歴任した。最新の『Handbook of International Economics』の共同編集者であり、「American Economic Review」の共同編集者や「Review of Economic Studies」の編集長を務めた経験もある。
インドで生まれ、現在はアメリカ市民と海外インド市民である。ゴピナート氏が受賞してきた賞や表彰は多岐にわたる。2021年には、フィナンシャル・タイムズ紙から「最も影響力がある女性25人」に選出、国際経済学会連合からはシュンペーター・ハーバラー名誉フェローに指名、農業応用経済学会からはジョン・ケネス・ガルブレイス賞を受賞し、カーネギー財団からは「偉大な(米国)移民」に選出された。ブルームバーグには「2019年を決定付けた50人」、フォーリン・ポリシー誌には「世界の頭脳100」、タイム誌には「頂点に輝くための大きな障壁を乗り越えた女性」にそれぞれ選出されている。
インド政府からは在外インド人に授与される最高の栄誉であるプラヴァシ・バラティヤ・サンマン賞を、ワシントン大学からは名誉同窓生賞を受賞。また、2014年にはIMFにより「45歳未満の優れたエコノミスト25人」、2012年にはフィナンシャル・タイムズ紙から「注目すべきインド人25人」、2011年には世界経済フォーラムによりヤング・グローバル・リーダー(YGL)に選ばれている。
デリー大学レディ・シュリ・ラム・カレッジで学士号を、デリー・スクール・オブ・エコノミクスとワシントン大学の両校で修士号を取得後、2001年にプリンストン大学で経済学博士号を取得。
最終更新日:2022年1月21日