IMF世界経済見通し

政策の転換、<br />高まる脅威
2024年10月

世界経済の成長は、今後も安定し続けることが見込まれるものの、勢いが欠けそうだ。表面の安定した数字とは裏腹に、2024年4月以降、水面下では大きな変化が見られる。今般、欧州の大国諸国を中心に、先進国の成長率予測が下方改定された。一方で、こうした下降分を相殺するかたちで、米国の予測値が上方改定された。新興市場国・発展途上国についても同様に、石油を中心とした一次産品の生産・供給の寸断、紛争、社会情勢不安、異常気象現象にともなって、中東・中央アジアとサブサハラアフリカの成長率予測値が引き下げられた。一方で、アジア新興市場国の見通しは上方改定され、中東・中央アジアとサブサハラアフリカの下方改定分を相殺している。アジア新興市場国では、人工知能への大規模投資によって半導体や電子機器に対する需要が急増しており、成長が促進されている。このトレンドを後押しするかたちで、中国やインドは相当額の公的投資を実行している。世界経済の5年後の成長率は3.1%と見込まれており、パンデミック前の平均値と比べると依然さえない数字だ 。
財の価格は安定したが、サービス価格は今も、多くの地域で高止まりしている。この点を踏まえると、部門別の力学を理解したり、金融政策を適切に調整したりすることの重要性が窺える。この点に関しては、第2章で議論する。世界経済における循環的な不均衡が解消しつつある中、確実に円滑な着地を実現するために、政策上の短期的な優先事項を慎重に調整すべきだ。またその一方で、中期的な成長見通しを押し上げるには構造改革が必要だが、最脆弱層への支援は継続されるべきだ。構造改革の実行を成功させるには、改革の社会的受容性を上げることが重要な事前条件となる。そのための戦略について、第3章で議論する。


