プレスリリース No. 21/47

ゲオルギエバ IMF専務理事が「危険な分岐」に対抗するためにG20の強力な政策を呼びかける

2021年2月26日

ワシントン DC: G20財務大臣・中央銀行総裁のオンライン会議において、クリスタリナ・ゲオルギエバ国際通貨基金（IMF）専務理事は本日、次の発言を行った。

今回のG20会合にあたって議長国を務めるイタリア政府ならびにダニエレ・フランコ経済財務大臣、イグナシオ•ビスコ総裁に祝意を表したいと思います。

私たちの中でも、ちょうど昨年の今頃、サウジアラビアのリヤドにいた皆さまは鮮明に記憶されていることでしょう。そこで、その後の展開について、つまり人々にとっての悲劇と深刻な景気後退について、最初の警告が発されました。現在、ワクチン接種の前進と、皆さまが講じられた強力な金融政策と財政措置が原動力となって、世界経済は復興の道を歩んでいます。今年の経済成長見通しは、一部の経済大国が追加で行う大規模な刺激策に促進されて、IMFが1月に出した5.5%の予測をも超える可能性があります。しかし、今も大きな不確実性があります。新たな感染の波やウイルスの変異株に対抗しながらワクチン接種を進めるにあたって、まだまだ先が長い道のりを進む必要があります。

そして、各国間や各国内で危険な分岐が見られます。中国を除く新興市場国・発展途上国では、2022年までに1人あたり所得が累計で最大22%失われることになるだろうと私たちは予測しています。一方で、先進国・地域の損失は13%です。また、所得面で先進国・地域との格差を縮めようとしていた国々の半数しか2020年から2022年には前進できないと見込んでいます。各国の国内を見ると、若年層、低技能の労働者、女性が失業から不釣り合いに大きな悪影響を受けています。

くわえて、気候変動がもたらす大規模な脅威も忘れることができません。

政策と IMF の支援

強力かつ断固たる措置を私たちは必要としています。

第一に、世界中でワクチン接種を加速させるべきです。復興にとって最大の効果をもたらす支援となります。ワクチン製造のスピードを高めて、世界中にワクチンをなるべく早く普及させるために国際協力が必要です。

第二に、保健危機が持続的に収束するまでの間、各国の状況に合わせた形で企業や家計への命綱を提供する決意を固めることです。そして、政策支援が段階的に縮小された時のリスクと意図せぬ影響に備えるべきです。破産や、金融市場の過剰なボラティリティを含め、金融ストレスの増加が起こりうるでしょう。

第三に、脆弱な国々への支援を強化すべきです。世界銀行との協力の下、私たちは国々が強力な改革を実施したり、債務の透明性や持続可能性に対処したり、譲許的な資金調達を拡大したりできるように支援しています。チャド、エチオピア、ザンビアが最初の候補国となっていますが、「共通枠組み」の迅速かつ実効的な導入を私たちは支持します。また、債務支払猶予イニシアティブ（DSSI）を延長すべきかについての検討も行っています。

利用できるツールを総動員すべきです。特別引出権（SDR）の新たな配分について支持が広がってきていることを私はとても励みに感じています。これは、透明性と説明責任のある形で加盟国の準備資産を増やす施策となります。豊かな加盟国が低所得国をSDRの転貸部分を通じて支援することを可能にする追加的なメカニズムを呼びかける声があることも励みに思っています。長期的な準備資産のニーズと実施方法に関して周到な評価を加盟国に提供する体制を私たちは整えています。

最後に、気候耐性のあるデジタルで包摂的な未来を築く目的に合わせて公的資源を利用することに触れたいと思います。

グローバルな気候リスクと環境税制についての議長国の提案を私たちは強力に支持します。私たちは、気候の問題を歳入・歳出政策に統合することであったり、気候関連の金融安定性リスクやデータであったりと比較優位を持つ分野で自らの役割を果たしていきます。

また、国際税制について、21世紀の経済により適ったものにするために、また、包摂的な発展を支えるために、その刷新を推進する動きが新たに強まっていることにも私は勇気づけられています。

皆さまが行われる重要な取り組みのいずれにおいても、私たちを頼りにして頂ければと存じます。