アジア太平洋地域セミナー
アジア太平洋地域経済見通し:困難な政策のトレードオフを迫られる1年
アジア太平洋地域は、2022年の成長率が4.9%と予想され、依然として世界で最もダイナミックな地域である一方、その回復はウクライナ戦争からの波及効果や世界的な金融引き締めなど、継続的な逆風と下振れリスクに直面している。IMFアジア太平洋地域事務所では、岡村健司・副専務理事と二人のスピーカーをアジア太平洋局から招き、アジア太平洋地域の経済の現状とリスクに関する地域セミナーを開催した。本セミナーでは、特にパンデミック後の回復を支えながら拡張的な経済政策の変更を進めると同時に、食料・燃料価格の上昇から弱者を守る政策対応の調整が必要、といった政策担当者が直面する困難なトレードオフについて議論した。また、日本経済特有の見通しについても議論した。
演題:
2022年5月20日(日本時間) | |
10:00-10:05 am | 冒頭挨拶 ジョナサン・ダン IMFアジア太平洋地域事務所次長 |
10:05-10:15 am | 開会挨拶 岡村健司 IMF副専務理事 |
10:15-10:45 am | 発表:アジア太平洋地域経済見通し シャナカ・ジェイアナス・ピーリス IMFアジア太平洋局地域研究課長 |
10:45-11:05 am | 発表:アジア・太平洋地域の主要国にフォーカス ラニル・サルガド IMFアジア太平洋局局長補 日本担当ミッション・チーフ 講演資料 |
11:05-11:25 am | 質疑応答 |
11:25-11:30 am | 閉会挨拶 鷲見周久 IMFアジア太平洋地域事務所長 |
講演者:
岡村健司は、2021年12月3日、国際通貨基金(IMF)副専務理事に就任。IMF奉職前は日本の内閣官房参与(国際経済政策担当)に在任し、2020年から21年には国際金融を担当する最高位の公務員である財務官に在任。同職では、財務省の国際金融関連の業務を統括し、国際通貨金融委員会(IMFC)、G7、G20、ASEAN+3等の会議に財務大臣代理として日本を代表して出席。この他、財務省国際局長、金融庁参事官など、日本政府の要職を歴任。また、経済協力開発機構(OECD)コーポレートガバナンス委員会副議長、成功裏に終わった世界銀行の国際開発協会(IDA)第18次増資交渉でのIDA交渉官等、国際場裏での豊富な経験を持つ。東京大学法学部卒業、ハーバード大学ジョン・F・ケネディスクール公共政策大学院修士課程修了。
シャナカ・ジェイアナス・ピーリスは、現在、国際通貨基金(IMF)アジア太平洋局(APD)の地域研究課長として、同局の主要刊行物である『地域経済見通し』を担当。それ以前は、ミャンマー担当ミッション・チーフや、ASEANマクロ金融サーベイランス担当課長補佐などを歴任。それ以前は、IMFフィリピン駐在代表、トンガ担当ミッション・チーフ等を歴任し、アジアやアフリカにおける幅広いサーベイランスやIMFプログラムに関する経験を持つ。英国チーヴニング奨学生としてオックスフォード大学で経済学博士号を取得した後、2001年にIMFのエコノミスト・プログラムに参加。これまで、包摂的成長、金融政策とインフレ、債券市場、銀行と金融、新興国市場のマクロ経済モデルなど幅広い分野の学術論文を発表したほか、ASEANとサブサハラ・アフリカに関する書籍の共同編集を務めた。
ラニル・サルガドは、IMFアジア太平洋局局長補で日本担当ミッション・チーフ。現在、モルディブ、サモア、トンガに関する業務も監督。同局では、インド、マーシャル諸島、ミャンマー、ネパールのミッション・チーフ、地域研究課長、シンガポール駐在代表を歴任。西半球局、調査局、戦略政策審査局を含め、25年以上IMFに勤務。IMF以前は、戦略経営コンサルティング会社での勤務のほか、ペンシルバニア大学、ジョンズ・ホプキンス大学、連邦準備制度理事会で教育・研究補助員として勤務。ペンシルバニア大学(経済学修士・博士)、ハーバード大学(化学学士)、ケンブリッジ大学(生化学修士)卒業。