プログラムの概要

IMFエコノミスト養成プログラムは、学生、若手研究者や社会人を対象に、IMFがどのようにファイナンシャル・プログラミングやその他の経済分析ツールを使用して、マクロ経済問題を分析し、政策提言を行っているのかを紹介することを目的としたイニシアティブです。本プログラム参加者は、*宿泊型のワークショップに参加し、元IMFエコノミストによる講義や、IMFの模擬経済審査を行うグループワークを体験します。

2017年8月の初回以来、計21回開催され、52か国から合計411人の参加者を迎えました(2024年8月現在)。同プログラムは、IMF能力開発局(ICD)が提供するIMFオンラインコースの入門コースとしての役割も果たしています。

* 新型コロナウィルスの流行下では、オンラインで開催されました。

内容

講義では、IMFの経済審査の概要を、ファイナンシャル・プログラミングの説明を交えて紹介します。参加者は、実際の国別経済審査及び貸付プログラムの事例について議論し、講義で紹介された経済分析ツールを活用して、各グループで独自の分析を行います。

主な対象者

英語コース:マクロ経済学、国際金融、開発経済学、その他関連分野を日本国内で学ぶ修士/博士課程の学生。若手研究者・社会人や学部生も応募できます。

日本語コース:マクロ経済学、国際金融、開発経済学、その他関連分野を日本国内で学ぶ学部生。修士課程の大学院生や若手研究者・社会人も応募できます。

ワークショップの修了者には、修了証書が付与されます。

JISPA奨学生のみを対象としたサマー・ワークショップがこのプログラムの内容をカバーするため、選考に際してJISPA奨学生の優先順位が低くなる可能性がありますのでご留意ください。

講師

英語コース

ジェリー・シフ(PhD)
現在、ジョージ・ワシントン大学で教鞭を執る。IMFにおいて、アジア太平洋局次長をはじめとした要職を歴任。また東京大学公共政策大学院の客員教授を務める。

 


日本語コース

石井 詳悟(PhD)
IMFのコンサルタントとして活躍中。IMFでは、アジア太平洋地域事務所長を務めた他、マレーシア、シンガポール、ベトナムのIMFミッションチーフ、タイの上級駐在代表など様々な要職を歴任。


プログラム日程(参考例:第18回、第17回)

第18回(東京、英語)

1日目
13:00-
受付
13:30-14:00 アイスブレイクセッション
14:00-14:05  開会挨拶
14:05-14:45

A.IMFの役割
本セッションでは、まず国際金融システムにおけるIMFの役割について紹介します。また本部と現場における、IMFエコノミストの働き方について説明します。

14:45-16:15 B. ファイナンシャル・プログラミングI:IMFのマクロ経済的フレームワーク
本セッションでは、IMFがどのようにマクロ経済問題を分析しているのか、その概要を紹介します。IMFの金融プログラミングツールを紹介し、マクロ経済変数間の連関を理解し、賢明な予測や政策提言を行うためにどのように使用されているかを説明します。
16:15-16:30  休憩 

16:30-18:00

C. ファイナンシャル・プログラミングII:財政政策
本セッションでは、マクロ経済のリスクや脆弱性を特定し、財政政策の分野で政策提言を行う上で、ファイナンシャルプログラミングやその他のツールが果たす役割について探ります。

Day 2
9:00-11:00

D. ファイナンシャル・プログラミングIII:金融政策と金融セクター政策。
本セッションでは、金融セクターを分析するためにファイナンシャルプログラミングがどのように使われるかを説明します。また、金融政策や為替政策、マクロ金融の連動性やリスクを評価するための簡単なツールも紹介します。

11:00-11:15
休憩
11:15-12:45

E. IMF経済審査:特定国の事例研究
本セッションでは、トルコのケースを利用して、IMF経済審査の役割を説明し、ファイナンシャルプログラミングがどのように国の経済を分析するために使用されるかを説明します。特に、経済データを用いてリスクや脆弱性を特定し、政策提言を行う方法について探求します。本セッションは、参加者によるプレゼンテーションの基礎となるものです。

12:45-13:45 昼食
13:45-14:45 F. JICAによるプレゼンテーション
14:45-15:15  G. グループワークの説明
本セッションでは、グループの割り当てについて説明します。事前に配布した資料に基づき、質疑応答の機会も設けています。
15:15-18:00  H. オフィスアワー: グループ発表の準備
Day 3

9:00-10:30

I. IMF支援プログラム:特定国の事例研究
本セッションでは、IMFが支援する調整プログラムの役割とその背景となるプロセスについて議論します。スリランカの事例を基に、IMFが支援する調整プログラムの重要なコンセプトを具体的に説明し、プログラム設計で直面するトレードオフを探ります。

10:30-10:45 休憩
10:45-11:45 J. オフィスアワー: グループ発表の準備
11:45-12:45 昼食
12:45-16:00

H. グループ発表

16:00-16:30 フォトセッション・閉会挨拶/終了アンケート
16:30- レセプション

スケジュールは変更される場合がありますのでご了承ください。新型コロナウィルスの流行下では、プログラムはオンライン開催となります。

第17回 (東京、日本語)

1日目
13:00-
受付
13:30-14:00 アイスブレイクセッション
14:00-14:05 開会挨拶
14:05-14:45

A. IMFの役割

14:45-16:15
B. マクロ経済フレームワークと連動
16:15-16:30 休憩
16:30-18:00 C. ファイナンシャル・プログラミング
2日目
9:00-10:30 D. ベースラインシナリオ評価
10:30-10:45 休憩
10:45-12:15 E. マクロ経済政策
12:15-13:15
ランチ
13:15-14:45 F. 調整プログラム
14:45-15:00 休憩
15:00-16:00  G. グループワークの説明
16:00-18:00 H. グループ発表の準備
3日目
9:00-10:30 I. ケーススタディ: エジプト
10:30-10:45 Break
10:45-11:45 J. JICAによる発表
11:45-12:45 ランチ
12:45-14:15
K. グループ発表 I
14:15-14:30 休憩
14:30-16:00 L. グループ発表 II
16:00-16:30
写真撮影と閉会挨拶 / 終了アンケート
16:30-18:00 レセプション

過去のコース

第21回: 2024年7月30-8月1日、東京、英語
10か国20名が参加しました。 Facebook X

第20回: 2024年3月27-29日、東京、日本語
3か国19名が参加しました。 Facebook X

第19回: 2024年1月10-12日、東京、英語
13か国20名が参加しました。 Facebook | X

第18回: 2023年6月15-17日、東京、英語
15か国22名が参加しました。 FB投稿 | ツイート

第17回: 2023年3月22-24日、東京、日本語
4か国19名が参加しました。 FB投稿 | ツイート

第16回: 2023年1月10-16日、オンライン開催、英語
5か国17名が参加しました。 FB投稿1 | FB投稿2 | ツイート1 | ツイート2

第15回: 2022年8月2-8日、オンライン開催、英語
13か国19名が参加しました。 FB投稿1 | FB投稿2 | ツイート1 | ツイート2

第14回: 2022年3月22-28日、オンライン開催、日本語
2か国17名が参加しました。 FB 投稿 1 | FB 投稿 2 | ツイート1 | ツイート2

第13回: 2022年1月12-17日、オンライン開催、英語
10か国18名が参加しました。 FB 投稿 1 | FB 投稿 2 | ツイート 1ツイート 2

第12回: 2021年7月27-8月2日、オンライン開催、英語
11か国20名が参加しました。 FB 投稿 1 | FB 投稿 2 | ツイート 1 | ツイート 2

第11回: 2021年3月16-22日、オンライン開催、日本語
3か国18名が参加しました。ツイッター投稿はこちら

第10回: 2021年1月5-10日、オンライン開催、英語
6か国から19名が参加しました。フェイスブック投稿はこちら

第9回:2020年7月8日〜13日、オンライン開催、日本語
4か国から19名が参加しました。ニュース記事はこちら

第8回:2020年1月9日〜10日、東京開催、英語
13か国から21人が参加した他、14人が遠隔参加しました。ニュース記事はこちら

第7回:2019年6月21日〜22日、東京開催、英語
11か国から20人が参加しました。ニュース記事はこちら

第6回:2019年3月7日〜8日、福岡開催、日本語
3か国から23人が参加しました。ニュース記事はこちら

第5回:2019年1月10日〜11日、東京開催、英語
10か国から19人が参加しました。募集案内はこちら

第4回:2018年6月15日〜16日、京都開催、英語
10か国から22人が参加しました。Webページはこちら

第3回:2018年5月9日〜10日、日本語
3か国から20人が参加しました。Webページはこちら

第2回:2018年1月11日〜12日、英語
11か国から18人が参加しました。Webページはこちら

第1回:2017年8月9日〜10日、東京開催、英語
7か国から21人が参加しました。Webページはこちら

参加者の声

「ワークショップで最も役に立ったのは、学部生の時に学んだ経済学の知識を思い出させ、今後のMBAプログラムに向けた基本的なスキルを学ぶ良い機会にもなった基礎的なマクロ経済理論の再確認と、IMFの役割とプロセスにおける実践的な着眼点を学ぶことができたIMFのケーススタディでした。さらに、グループプレゼンテーションは、マクロ経済学の専門知識を持つ仲間からの学びに価値があり、理解を深めながらチームワークスキルも高めることができました。」ケンブリッジ大学 吉川奈津子さん、日本(第21回参加者)

「実際に政策の現場で、どのようなマクロ経済分析が行われているのか、各国の経済状況をサーベイしているのか、講義を通じて知ることができました。グループワークを通じて実際に行うことで、経済状況に影響する課題が複数あるため、何を優先して政策を立案していくのか、マクロ経済分析の難しさを実感することができました。」お茶の水女子大学 沼野 明香さん、日本(第20回参加者)

このような作業スタイルは、実際に他の研究者と行う共同研究に比較的似ています。一つの国の経済を4つのセクターに分ける枠組み分析は、とても役に立ちます。経済の現状を素早く見たいときに、このような方法を使いたいと思います。」早稲田大学  存浩さん、中国第19回参加者) 

「ワークショップでは、各国の経済サーベイランスを深く掘り下げ、IMFがどのようにファイナンシャル・プログラミングや政策評価を通じて加盟国を分析し、政策提言を行うかについて貴重な知見を得ることができました。この3日間で得た知識と経験は、経済学博士候補としての私の成長、そして将来のキャリアに間違いなく貢献するものです。」政策研究大学院大学 アリヤブティクル ムティタ (ベンツ)さん、タイ(第18回参加者)

「様々なバックグラウンドを持つ人々と意見を交わすことができたことが特に有益であると感じました。特に最終日の発表後に質疑応答の時間がたっぷりと取られており、石井先生のご意見や他の参加者の様々な意見を聞くことができ、非常に有意義であると感じました。」東京外国語大学 邱 惠莉クリオさん、日本(第17回参加者)

「ワークショップを通じて、IMFの分析フレームワークを実践的に試すことができました。また、様々なバックグラウンドを持つメンバーで構成されたチームでは、資料作成のためのディスカッションが非常にエキサイティングで、自分の知識を広げることができました。今後、民間シンクタンクで経済リサーチを行うにあたり、今回学んだフレームワークを日本の財政・金融の不均衡に関する分析に応用していきたいです。」キングス・カレッジ・ロンドン 菊池紘平さん、日本(第16回参加者)

ケーススタディが一番役に立ちました。以前は、マクロ経済データに基づいてその国の経済状況をスナップショットのように描き出すことは困難でしたが、今ではデータから推論し、経済の潜在的な脆弱性を特定することに自信が持てるようになりました。そして、この学びを他の優秀な学生とのグループプロジェクトに生かすことができたことが、経験全体を印象深いものにしています。」オックスフォード大学 原口美優さん、日本(第15回参加者)

「1週間かけて学んだ、IMFが行うマクロ分析のフレームワークを、チームプロジェクトという形で、ディスカッションや発表を通してアウトプットする機会を設けていただけたことで、より一層理解を深められたとともに、IMFの業務の片鱗に触れることができました。」京都大学 山下 大碧さん、日本 (第14回参加者)

「私にとっては経済を構成する4つのセクターの復習により、マクロ経済学の知識を更新するだけでしたが、国際的な講師や専門家から新しい知識を学ぶことは素晴らしい経験でした。経済サーベイランスについての部分は、IMFのような経済組織が各国の経済をどのように扱うかという点で最も興味深く、IMFの経済評価手法をとても気に入りました。」 埼玉大学 アブドゥラエフ・エルベックさん、ウズベキスタン (第13回参加者)

「このプログラムは、経済データを見ることを通じて経済を構成する各部門を結び付け、国の全体像を把握するのに役立ちました。私は外貨準備に非常に大きな関心を持っているので、国際収支について理解することは私にとって最も興味深くそして有益な部分でした。」 埼玉大学 ボロルトゥヤ・ムンフバットさん、モンゴル (第12回参加者)

「最後のグループワークでのケーススタディを通して、講義で習った内容とこれまで積み上げてきた経済学の知識を実際の分析に落とし込む経験ができ、大変理解が深まりました。また、グループメンバーとのディスカッションを通して、協力しながら一国の経済を分析する難しさと楽しさを学びました。」香港大学 金 仁峰さん、韓国 (第11回参加者)

「ジェリー・シフは素晴らしい講師でした。彼はフレームワークを非常に明確に説明し、私は彼から非常に多くの重要な洞察を学びました。国のデータを4つのセクターに分割すると、全体像を理解しやすくなります。このプログラムを終えて、フィリピンの財務省で働いていた時に直面していた問題をより明確に理解できるようになりました。」一橋大学 レアンドロ・イニュメラブルさん、フィリピン(第10回参加者)

「自分が兼ねてより関心のあったマクロ経済を実践的に観察してより深く知ることができただけでなく、IMFのような形で世界経済に働きかけることへの強い憧れを抱くようになりました。今後も、実践的に経済を分析する機会を得ていきたいです。」慶応大学 権田茜さん、日本(第9回参加者)

「ファイナンシャル・プログラミングの講義が非常に面白かったです。IMFの経済分析手法について理解を深めることができました。」東京大学 バスティアン・ギレミノ・サイモンさん、フランス(第8回参加者)

「マクロ経済指標に基づく評価プロセスについて、多くのことを学びました。」東北大学 ジュアン・タン・トランさん、ベトナム(第8回参加者)

「課題そのものが非常に実践的でした。限られた時間内に限られたデータでタスクを完了する必要に幾度も迫られる現場の状況を、よく反映していると思いました。」立命館大学 ジェイソン・アギウスさん、マルタ(第7回参加者)

「国別事例研究は、IMFがどのように加盟国の経済審査を行なっているかを理解するのにとても役立ちました。」大阪大学 セシル・エールさん、トルコ(第7回参加者)