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IMFエコノミスト、マクロ経済政策による内需刺激の必要性を指摘
[2019年10月29日、東京] – 国際通貨基金(IMF)アジア太平洋局のシニアエコノミストであるショーン・クレイグが今日、東京で開かれた経済セミナーに登壇し、今般、アジア地域をはじめ世界の経済成長が減速すると予想される中、需要を支え、成長回復を促進する上でマクロ経済政策が重要な役割を果たすと指摘しました。
クレイグは、最新の世界・アジア太平洋地域経済見通しを紹介、アジアは世界的な金融危機以来、最も遅いペースで成長しており、GDP成長率は2019年では5%、2020年では5.1%と予測されていると述べました。この原因としては、高まる政策の不透明さや、中国とインドの成長の鈍化が挙げられます。クレイグは、政策の不確実性の軽減を優先事項とし、貿易緊張の解決を促進することを推奨しました。また、金融セクターの政策を引き締めることで、緩和的な金融状態から生じる金融安定性リスクの増幅を防止できると付け加えました。
今回のセミナーは、IMFアジア太平洋地域事務所が主催する経済セミナーシリーズ一環で、「世界経済見通し(WEO)」や「地域経済見通し(REO)」、アジアの資本フローに関する部門別ペーパーなど、最新のIMF刊行物の主要調査結果を紹介するために開催しました。
同セミナーではさらに、IMF本部に所属するエコノミスト二人が調査結果を報告しました。アジア太平洋局のノア・トウクは、アジアの新興経済国の資本フローに関する論文の概要を発表。経済状況や為替相場の乱高下などによって大きく変動しやすい大規模で不安定な資本フローの管理は、アジアの新興市場経済における中心的な経済課題であると指摘しました。トウクは、不安定な資本フローに対する金融、マクロ・プルーデンス、及び外国為替政策の対応を分析した研究の調査結果を共有。アジア諸国は、政策金利を調整することでインフレに対応するだけでなく、米国の金利、為替相場と与信の成長にも対応していると述べました。
一方、IMF調査局のウェイチャン・リアンは、WEOからの抜粋である、先進国における自動化の影響に関する自身の調査結果を報告しました。リアンは、先進国では貿易による打撃よりも、テクノロジーによるショックの方が失業率に大きな影響を与え、国内の貧しい地域が自動化に対して一層脆弱であると指摘。より開かれた労働市場と強固な社会的セーフティネットを促進する国家政策が、テクノロジーによる悪影響の緩和に役立つであろうと示唆しました。
同セミナーには、金融関係者、エコノミスト、市場アナリストなど官民両部門から80人以上が出席しました。質疑応答では、参加者が様々な業界やセクターに影響を与えている貿易政策に関する懸念を共有しました。また技術変化の影響を受けるサプライチェーンについて触れ、財政・金融政策をめぐる国家間の政策調整に関する質問をする参加者もいました。