一国の金融システムには、銀行やノンバンクの貸し手、保険業者、有価証券市場、投資ファンドが含まれます。また、清算機関、決済プロバイダー、中央銀行、金融の規制・監督当局も含まれます。こうした機関が、経済取引や金融政策を実施したり、貯蓄を投資に振り向けたりするための枠組みを提供することで、経済成長を支えているのです。
金融危機が発生すると、その影響は広範囲に及ぶ可能性があります。金融危機により、景気低迷が深刻化したり、資本逃避が起きたり、為替レートが下落したりしかねないからです。また、金融仲介に混乱が生じたり、金融政策が揺らいだりする恐れもあります。問題を抱えた金融機関の救済に伴う多額の財政コストも発生しかねません。諸々の金融機関や国がますます繋がっているため、ひとつの地域で発生した金融ショックは、複数の金融セクターや国々に急速に波及する可能性があります。そのため、経済と金融の安定性には、強靭で、適切に規制・監督された金融システムが不可欠なのです。また、IMF職員による分析では、金融安定性と 金融深化、金融包摂の間に極めて重要な繋がりがあることが示されています。