2021年9月号 英語版
バックナンバー
クリスタリナ・ゲオルギエバ 著
知ってはいた問題がアートの力で他人事でなくなることがある。芸術作品が行動へと導くことがあるのだ。今号の表紙はマレーシアの若きアーティスト、ノル・ティジャン・フィルダウスの作品で、複数世代にわたる人類の放蕩三昧が残す影響をありありと提示している気候変動、生態系の喪失、環境劣化といった結果はどれも、こうした問題を将来的に受け継ぐことになる子どもたち世代の健康と幸福を脅かしている。
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アマール・バタチャリヤ ニコラス・スターン 著
コロナ禍は、人間という存在が脆く危ういものであることを私たちに示した。しかし、私たちが気候変動に対して今すぐに行動を起こさなければ、そのダメージはパンデミックの影響よりもさらに深刻でより持続的なものとなるだろう。現在なされる議論が、人々や地球未来を形作る上で非常に重要となる。オールドノーマル(旧常態)に回帰すべきではなく、持続可能かつ包摂的で強靭な成長を通じて「ビルド・バック・ベター(より良い復興)」を図ることが不可欠である。
エラ・ダブラ=ノリスジェームズ・ダニエル野崎仁宏 著
気候変動は今日の世界が直面する最重要課題であり、とりわけアジア太平洋地域への影響は大きい。アジアでは世界平均の2倍の速さで気温が上昇しており、それは気象関連の自然災害の頻度や重大性が高まっていることと関連している。2019年だけをとってもインドでは厳しい熱波により各地で水不足が起きた。南アジアでは豪雨によって多くの住民が避難を余儀なくされる一方、メコン・デルタでは深刻な干ばつで川の水位がかつてないほど低下した。オーストラリアは特に厳しい乾期のあおりで記録的な森林火に見舞われた。太平洋とインド洋沿岸部には25個以上の熱帯低気圧が襲来した。このような気象リスクは今後一段と高まると予想される。
ジェームズ・H・ストック 著
新型コロナ危機に伴う経済の急速な破壊や混乱を追跡する上では、高頻度データが重要となる。その情報は、危機が特定の集団、とりわけ女性にもたらす不釣り合いに大きな影響をほぼリアルタイムで確認することにも役立っている。
ボブ・シミソン 著
ビッグデータを気候変動政策に活用する、カリフォルニア大学バークレー校のソロモン・シャンをボブ・シミソンが紹介する