2019年9月号 英語版
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デビッド・リプトン
世界GDPは昨年、87兆ドルでしたが、1980年のわずか11兆ドルから大幅に増加しています。GDPは幸福を示す数多くの指標のひとつに過ぎないかもしれませんが、その伸びは驚異的です。ただ、世界GDPのこうした成長を祝う前に、世界経済の闇を示す以下の数字について考えてみましょう。
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ニコラス・シャクソン
2008年の金融危機が起こるまで、タックスヘイブン(租税回避地)は一般的に、世界経済という舞台のエキゾチックな余興程度に思われていた。有名人や無法者、裕福な特権階級が足を運ぶカリブ海の島々やアルプスの金融版要塞といったイメージだ。だが、その後、世界はふたつの厳然たる事実に気づいた。ひとつは、タックスヘイブンという現象はほとんどの人が思っていたよりもはるかに規模の大きい、そして世界経済にとって本質的な問題であるということ。そして、もうひとつは、最も規模の大きいタックスヘイブンは、我々が思っていたような場所ではない、ということだ。
トム・マシュバーグ
マシュー・グリーンは少年時代から18世紀以前の巨匠や印象派の作品に囲まれ、魅惑的な美術品の世界で生きてきた。父リチャードはロンドン有数の画廊を2軒所有し、ピカソ、コンスタブル、シャガール、ブリューゲルなど伝説的な画家の作品を扱っていた。51歳のグリーンは、父が新たな夢を追えるように、家業を継ぐ準備をしていた。
最先端ホログラム、近代の偉人、浮世絵の代表作が日本の新紙幣を飾る。
マリア・ペトラキス
ギリシャは暑い夏の盛り、アテネは観光客でごった返している。彼らは短パンにサンダル姿で、アクロポリスの麓に広がる歴史地区プラカの狭い石畳の路地に連なる店に押し寄せ、オリーブやマグネット、Tシャツ、その他の小物を物色している。ひとりの男性がトートバッグの値段をめぐって路上の物売りと押し問答している。こうした現金取引こそ、ゲオルギオス・ピツィリスが根絶しようとしているものである。