財政モニター
2021年1月 アップデート
2021年1月
各国がワクチン接種を急ぐ中、政府支援の重要性は変わらず
アップデートの全文
「財政モニター・アップデート」のポイント
- 世界で14兆ドルにおよぶ財政支援は人々の生命と生活を支え、パンデミック(感染症の世界的大流行)による消費と生産活動への影響を緩和してきた。経済の収縮による歳入減少と相まって、財政支援は公的債務と財政赤字の拡大につながった。
- 2020年末時点の世界の公的債務は対GDP比98%に達した見込みだ。2019年10月の「財政モニター」では同時期に84%になると予想されていた。
- 各国の財政対応を決定づけた要因は資金調達力だ。2020年の財政赤字は平均すると先進国では対GDP比–13.3%、新興市場国と中所得国は同–10.3%、低所得途上国では同–5.7%の予想だ。
- 治療薬やワクチンの普及には国際協調が不可欠だ。脆弱な家計や企業に対する財政支援は、景気回復が本格化するまで適宜継続する必要がある。
- 財政政策は持続的回復を支え、さらに財政および資金調達リスクを管理しつつ、グリーン(環境配慮)、デジタル、インクルーシブ(包摂的)な経済への転換を促進する必要がある。
- 債務水準が高く、資金調達が困難あるいは困難になるリスクがある国を中心に、信頼性のある中期的な財政の枠組みが今、求められている。