国際通貨基金と世界銀行グループ、世界保健機関が、 パンデミック対策に関する協力を強化

2024年10月4日

ワシントン DC: 国際通貨基金(IMF)と世界銀行グループ(WBG)、世界保健機関(WHO)のトップは、パンデミックへの備えに関する協力体制について、広範な原則に合意した。この協力により、IMFの強靭性・持続可能性トラスト (RST)、WBGの資金と技術面の支援、WHOの技術的専門知識と現地での能力を合わせて、公衆衛生上の脅威を予防、検出し、それに対応するための各国への支援を拡大することができるようになる。RSTは、適格加盟国が低金利で長期の融資を受けられる仕組みで、経済の安定を追及する上での構造的課題(パンデミックによるものなど)に対処する改革を実施する支えとなるほか、各国の保健医療システムの強靭性を強化することを目的としている。

 IMFとWBG、WHOは、それぞれのマンデートと政策の範囲内で取り組み、各機関の国別分析・取り組みの相乗効果と補完性を礎に、それぞれの専門知識を活用して、加盟国におけるパンデミックへの備えを強化する。この協力により、IMFの強靭性・持続可能性制度(RSF)が支援する効果的な政策および制度・公的財政管理の改革、世界銀行グループが支援する政策改革と投資、WHOが提供する技術・運用支援について、設計を強化し、それぞれの役割を明確にすることができる。パンデミックへの備えの枠組みを強化する上で、加盟国も、自国の保健医療システムの強靭性を改善し、保健医療のあらゆる緊急事態により適切に対応する能力を向上することに取り組む。

 協調に関する広範な原則の下:

  • WHOとWBGは、引き続き保健医療関連の開発政策を主導する。また、他の国際開発金融機関とパンデミック基金とともに、パンデミックへの備えに関する特定のプロジェクトの投資を主導する。RSTの資金は、特定のプロジェクトには割り当てられない。
  • RSFの取極めに支えられたパンデミック対策の改革措置は、WHOとWBG、各国当局の既存のデータ・分析・業務上の関与に関する情報に基づいて実施される。
  • パンデミック対策の改革は、各機関の専門分野を活かす。RSFプログラムは、IMFの専門知識で網羅するマクロ経済的に重要な政策改革に焦点を当て、WBGとWHOが実施する業務を補完することで、各国が利用できる資金源と技術的専門知識の両方を最大限に活かせるようにする。RSFの改革措置として、将来の公衆衛生上の緊急事態に効果的に対応するための保健医療システムの準備体制と資金源を強化することを目的とした政策措置などが挙げられる。

 IMF、WBG、WHOの3機関は、協力を強化することにより、各国のパンデミック対策の取り組みをより適切に支援できる。

 IMFのクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事は「世界銀行グループと世界保健機関との協力強化により、われわれの機関は互いの専門知識を補完・活用し、加盟国がパンデミックへの備えを強化し、保健医療システムの強靭性を高めることができるようになる。IMFの強靭性・持続可能性トラストは、適格な加盟国がマクロ経済の安定を脅かす構造的な課題に対処するために、低金利で長期融資を利用できるようになる」と述べた。

 WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェソス事務局長は「新型コロナのパンデミックは、保健医療システムを強化して、伝染病の流行やパンデミックを予防および検出し、発生した際には対応してそれをしのぐための新しい資金源の必要性を浮き彫りにした。WHOは、IMFおよび世界銀行と協力して、強靭性・持続可能性トラストの資金を解き放ち、各国がより安全な世界に向けてそれを活用できるよう支援できることを誇りに思っている」と述べた。

 世界銀行グループのアジェイ・バンガ総裁は「次の世界的な健康危機に対して積極的に計画し、準備しなければならない。そうすれば、闘うときが来た際に、危機時に迅速に配備できる医療従事者や、検査規模を迅速に拡大できる研究所が備わっていることになり、危機に対応する能力を増大させることができる。この緊密な協力関係は、各国が公衆衛生上の脅威に適切に備え、対応できるよう支援することに焦点を当てている」と述べた。

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