歳入拡大と歳出改善
2024年6月5日
おはようございます。第9回東京財政フォーラムにようこそおいでくださいました。
本日のイベントを共催していただいた日本財務省とアジア開発銀行研究所に感謝申し上げます。
今年のフォーラムの焦点は、「歳入拡大と歳出改善」ですが、これは特に時宜にかなったものです。
なぜかというと、政策当局者が財政を取り巻く困難な環境に置かれているからです。
世界の公的債務は引き続き高い水準にあり、2023年末時点でパンデミック前の水準を約9%ポイント上回っています。
他方、中期的な成長見通しは過去数十年で最低となっており、3%をわずかに上回るにすぎません。
そして、インフレ率は低下しつつあるものの、金利はより高い水準でより長く維持される可能性があります。
こうした課題によって、政府の予算が制約されています。気候変動や高齢化への対策を含め、公的支出の需要が高まっているにもかかわらずです。
こうした中、財政バッファーを再構築し、将来のショックに備え、持続可能な開発を実現するためには、歳入を確保し、歳出を効率化することが不可欠です。
効果を高めるために、このふたつの要素が結びついていなければなりません。
本日の会議では、ひとつ目の要素である歳入の拡大に焦点が当てられます。
私たちの研究では、より公平で包摂的な課税制度などで税の設計を向上させたり、公的制度を強化したりすることにより、新興市場国と発展途上国では税収の対GDP比を平均で最大9%ポイント引き上げられることがわかっています。
そのため、本日のパネルでは、効果的な政策や十分に機能する歳入行政を通じてなど、どうすれば各国が徴税能力を強化できるかについて議論することになります。
明日は、ふたつ目の要素である歳出の改善に焦点が当てられます。
インフレ率が低下する中、政策当局者は財政健全化へと舵を切る時が来ています。
引き締めのペースは国によって異なるでしょうが、総じて、財政リスクと民間需要の強さとの間でバランスをとる必要があります。同時に、健全な政策を実現するためには、中期的な計画と信頼性のある財政枠組みが不可欠です。
各国が自国の財政を強化する過程において、IMFは各国を支援します。
私たちは、世界銀行とともに、加盟国が歳入を拡大し、歳出を効率化し、国内資本市場を整備するのを支援するために、国内資金動員イニシアティブを立ち上げました。
また、新しいグローバル公的財政パートナーシップ(GPFP)を通じて、歳入と歳出双方に関する能力開発のためのワンストップショップを提供します。
GPFPは、各国が今後の変革に備えるのを支援するために、気候変動やジェンダー、包摂性、デジタル化といった分野横断的な課題も組み込んでいます。
そして、このフォーラムのような場を通じて、私たちは加盟国を集め、経験や洞察、そして強力な財政政策のためのベストプラクティスの共有を図っています。
みなさんが集まって、今後数日間にわたってこうした重要で相互に関連する財政問題について議論する中で、IMFがアイディアを政策に変え、政策を実行に移すサポートをするためにここにいることをどうか忘れないでください。
歳入拡大と歳出改善のために協力すれば、成長と雇用、そして各国市民にふさわしい繁栄を築くことができるのです。
ご清聴ありがとうございました。
IMFコミュニケーション局
メディア・リレーションズ
プレスオフィサー:
電話:+1 202 623-7100Eメール: MEDIA@IMF.org