日本:2024年対日4条協議終了にあたっての職員の声明 [1]

2024年2月8日

「訪問終了にあたっての声明」は、国際通貨基金(IMF)職員による公式訪問(大半の場合は対加盟国)の終了に伴い発表されるもので、職員による初期評価を示すものである。IMF訪問団の派遣は、国際通貨基金協定第4条に基づき定期的に(通常は年1回)行われる協議の一環として、また、IMF資金の利用(IMFからの借り入れ)の要請に関連して、あるいは、スタッフ・モニタリング・プログラムの協議のため、さらには、職員によるその他の経済情勢モニタリングの一環として行われる。

各国当局はこの声明の公表に同意している。同声明における見解はIMF職員の見解を示すもので、必ずしもIMF理事会の見解を示すものではない。この初期評価を基に、IMF職員は報告書を作成する。その報告書はマネジメントの承認を受け、IMF理事会に協議や決定のための資料として提出される。

ワシントンDC:

日本経済は引き続き、パンデミックから回復している。当初コストプッシュ型の要因で上がっていた物価は、需給ギャップが解消し労働不足が深刻化する中で、需要けん引型の要因での上昇となってきている。短期的には、金融安定 性を保ちつつ、非伝統的な金融政策の縮小と財政引き締めに焦点を移すべきである。中期的には、潜在成長率を支えるため、財政バッファーの再構築と財政枠組みの強化、労働市場改革を中心とした構造改革を進めることが優先課題である。

最近の動向と見通し、そしてリスク

景気回復は2023年に勢いを増し、需給ギャップは解消したと推計される。コアインフレ率(生鮮食品とエネルギーを除く)は高い水準でピークに達したもようで、需要が押し上げ要因となってきている。基調的なインフレ率を補足するための指標によると、目標を上回る現在のインフレは、過去30年間で初めて、製品とサービス全体に幅広く及んでいる。労働力が不足する中、インフレ率を下回るものの、賃金は上がっている。

景気回復は続く見通しである。訪日観光客の急増を含め、2023年の成長を支えた一過性の要因が薄れ、2024年は成長が鈍化する見通しである。日本の準備が整っていることが、能登半島地震による経済への影響を緩和する一因となるだろう。コアインフレ率は、高い輸入物価の影響が弱まるにつれて、徐々に低下すると見込まれる。コアインフレ率は、需給ギャップの解消と名目賃金の増加によって、2025年後半までは物価目標の2%を上回る水準で推移するだろう。基礎的財政赤字は、直近の財政刺激パッケージの影響を反映して、2024年も高水準にとどまるだろう。経常収支黒字は、輸出の増加と輸入価格の下落に支えられて2024年に増加すると見込まれる。対外ポジションは、中期的なファンダメンタルズおよび望ましい政策が示唆する水準と概ね一致していると評価される。

成長とインフレに対するリスクは概ね均衡している。成長面の下振れリスクは、世界経済の減速や地経学的分断の悪化、食料・エネルギー価格のボラティリティの一層の高まりなど、主に外的要因に起因する。国内要因に目を向けると、主要な下振れリスクは、インフレ率が賃金の伸びを上回る状況が続くことで家計の実質所得の伸びが引き続き低迷すること、労働力不足が一層深刻化して経済活動の制約となること、そしてインフレのない環境に戻ること、である。上振れ面については、訪日観光のさらなる回復と世界経済の力強さが景気の伸びを下支えし得るだろう。インフレについては、過去を振り返って形成されるインフレ期待と、春の賃金交渉後の予想を大幅に上回る賃上げが上振れリスクとなる。インフレの下振れリスクとしては、世界的な財・輸入物価の下落の加速や、春の賃金交渉における予想を下回る賃上げなどがあり得る。

経済政策

財政政策

解消した需給ギャップと債務対GDP比の高さを踏まえると、規模が大きく、よく的が絞られていなかった11月の財政刺激パッケージは妥当ではなかった。追加支出は、歳入増や他分野の歳出削減で相殺されるべきだった。的が絞られていない所得税減税は、その時限的な性質や、日本の家計の消費性向が低いことを考慮すると、債務のダイナミクスを悪化させる一方で、成長に及ぼす影響は限定的と予想される。加えて、エネルギー補助金は、エネルギー消費を歪め、脱炭素化の取り組みを妨げ得るものであり、脆弱な世帯に的を絞った給付に置き換えられるべきである。

現在の政策の下では、公的債務対GDP比は、高齢化に伴う歳出圧力に対応するために、長期的に着実に上昇するであろう。防衛、グリーントランスフォーメーション、デジタルトランスフォーメーション、子ども関連政策の予定されている追加歳出は、財政収支の重しになる見込みであり、持続的な歳入によって相殺されるべきである。短中期的には、金利は徐々に上昇するものの、実質金利と成長のダイナミクスは良好なまま推移し、債務水準の低下に資するだろう。しかしながら、高齢化と生産年齢人口の減少を反映し潜在成長率が低下することで、長期的には債務水準は上昇するだろう。ソブリンリスクと債務持続可能性の分析においては、総資金調達ニーズは高まっているものの、ロールオーバーリスクについては、大きな国内投資家基盤と債務プロファイルによって軽減されていることが示されており、債務危機の全体的なリスクは中程度と評価される。

財政バッファーを再構築し、債務の持続可能性を確保するためには、歳入と歳出双方の措置で下支えされた財政再建が必要である。これは、財政乗数が低い的を絞らない給付を制限し、エネルギー補助金を段階的に廃止する一方で、歳入を動員して追加的な歳出政策を相殺することで達成可能である。具体的な提案内容は、以下の通り。

  • 歳入動員。以下の選択肢を検討すべきである。(1)消費税率の単一化・引き上げ、(2)高所得者に対する金融所得課税の強化、(3)住宅用地に対する優遇措置の撤廃による資産課税の強化、(4)個人所得課税にかかる控除の合理化、(5)社会保険料の増額。
  • 医療支出。医療の質を維持しつつ、医療費を抑制するための改革を検討すべきである。例として、(1)高所得あるいは資産の多い高齢者の自己負担引き上げ、(2)ジェネリック医薬品やOTC医薬品の使用促進、(3)リフィル処方箋の利用の増加、(4)予防医療の充実、(5)より的を絞った医療サービス・医薬品への保険適用。
  • 子育て関連の支出。国際的な経験に基づくと、的を絞らない現金給付が出生率の向上に効果的であることを示すエビデンスは限定的である。子ども関連支出の効率性は、保育施設のさらなる拡充や働き方・労働市場改革などを通じて高め得るものであり、これは男女間格差の是正にも貢献し得る。
  • 中小企業支援。パンデミック関連の一部の措置やパンデミック前に開始された補助金は、現在も続いている。歳出を合理化し生産性を向上させるために、これらの施策の必要性や効果についての総合的な評価が必要である。
  • 当局は、2024年度に計画されている財政枠組みの見直しの一環として、中期的な財政枠組みを引き続き強化すべきである。
  • より現実的な仮定を。財政政策の立案は、より現実的な成長・歳入・歳出の措置に関する仮定に基づくべきである。独立した財政機関は、マクロ予測の現実性を評価し得る。
  • 基金のガバナンス。国の基金は通常、政府の年度予算にかかるコントロールシステムの外に作られ、その約3分の1は終了年度が特定されていない。この脆弱なガバナンス構造が、歳出の非効率性をもたらし、予算の規律を低下させている。政府は、よりよい財政運営を行うために、各基金の明確な出口計画を設定すべきである。
  • 補正予算の策定に規律を。当初予算で設定される歳出の上限は、補正予算を採用する慣行がある中においては、最終的な政府歳出の統制においてうまく機能していない。拡張的な補正予算は、予期せぬ大きな経済ショックが発生した場合のみに限定されるよう、予算プロセスは改められる必要がある。緊急性の低い政策や、事前に特定できた政策は、年次予算の議論の場において取り上げられるべきである。

金融政策

インフレ率は中期的に、日銀の2%目標に収れんする見込みである。インフレはここしばらくの間、継続的に目標を上回っており、これに続いて次の要素を反映した持続的な物価上昇が再帰する。(1)長期的なインフレ期待の数十年ぶりの上昇、(2)労働力不足が深刻化する中での1995年以来の大幅なベースアップ、(3)中立金利の推定値を大幅に下回る実質金利とバランスシート拡大を伴う歴史的に高水準の金融政策の緩和。

日銀は、デフレが続いた日本の歴史を踏まえ、また、最近の指標が交錯したシグナルを発していることから、適切に慎重な姿勢をとっている。とはいえ、名目賃金の上昇と需給ギャップの解消により、インフレの上振れリスクがここ1年間で顕在化している。日銀の最近の政策調整は、これまでの政策提言に沿った内容である。これにより、10年物国債利回りがより柔軟になり、市場の力で動くようになった。これは、(1)日銀による日本国債買入れの過度な拡大と、それによる債券市場の機能に対する意図せざる副作用を抑制することに役立った。また、(2)金融機関の収益性を下支えするとともに、より高い利回りを求めてリスクの高い資産ポートフォリオへのエクスポージャーを追求するインセンティブを減らすことを通じて金融安定性を確保し、 (3)近い将来における非伝統的な金融政策からの移行をより円滑化することが見込まれる。

日銀は今、イールドカーブ・コントロール(YCC)を撤廃するほか、量的・質的金融緩和(QQE)を終わらせ、その後は短期政策金利を段階的に引き上げることを検討すべきである。

  • YCCQQE枠組みの撤廃 : これらの枠組みは金利を中立金利以下に引き下げ、インフレ期待を引き上げるという本来の目的をすでに成功裏に達成している。これらの枠組みを正式に撤廃することで、コミュニケーションが簡素化される。日銀は、債券市場の状況の突然の変動やタームプレミアムの急激な上昇を回避するため、満期を迎えるバランスシート上の国債を引き続き再投資することが可能である。
  • 主要な政策手段の短期政策金利への移行 : IMF職員のベースラインのインフレ予測が現実化する場合、日銀はその後、政策展望期間(3年間)にわたって政策金利を段階的に引き上げるべきである。

こうした政策転換は、市場の期待を安定させるために、段階的かつ十分なコミュニケーションをとったアプローチをとるべきである。こうしたアプローチは、金融政策と金融環境を引き続き緩和的に維持する一方で、日銀は今後公表されるデータの底堅さを確認する時間を確保することができる。リスクを軽減するには、以下の点に留意すべきである。

  • 日銀は、関連性のある金融市場において十分な流動性支援を確保するために、状態依存的な国債買入れや、その他の的を絞った一時的な措置を実施する必要があるかもしれない。
  • 日銀が明確かつ効果的なコミュニケーション戦略を通じ、政策金利を段階的かつ慎重なペースとタイミングで引き上げることを支える要因(例えば個人消費を下支えし、インフレ率を目標水準に維持するのに十分な勢いで賃金が成長していることが確認できること等)を強調することが、円滑な移行の鍵となるであろう。このような戦略はまた、日本の投資家が大きなポジションを保有する他のソブリン債市場への波及効果による混乱を最小限に抑えるものと考えられる。
  • 柔軟な為替相場制度に対する日本の長年にわたるコミットメントは、経済ショックを吸収することを助け、金融政策が物価安定に注力することを支えるであろう。同時にそれは、ファンダメンタルズに沿った対外的ポジションの維持も助けるだろう。
  • 金融安定を守る

日本の金融システムは、強力な資本・流動性バッファーと広範な政策支援が支えとなって、新型コロナウイルス感染症のパンデミックなど、最近の一連のショックに耐えてきた。民間部門への信用供与はパンデミック以降も堅調に推移し、着実な景気回復を支えている。マクロ金融の安定性に対する主なリスクは、国内外の金利と金融市場のボラティリティの上昇につながる可能性がある世界経済成長の急激な鈍化とインフレ圧力の高まりに起因する。これらのリスクが顕在化すれば、金融システムの三つの主要な脆弱性の要因(金融機関が時価会計ベースで大量の有価証券を保有していること、いくつかの銀行の外貨エクスポージャーが顕著であること、不動産市場の一部が過熱化の兆候を見せていること)と相互に作用し合う恐れがある。

現在進行中のIMFの金融セクター評価プログラム(FSAP)の一環として実施されたシステミックリスク分析は、金融システムが概ね強靭であることを示唆しているが、いくつかの分野は注意と緊密なモニタリングが必要である。日本の銀行や保険会社は総じて、世界経済の低成長と高インフレという不利なシナリオに十分耐えることができるが、一部の金融機関は脆弱である可能性がある。銀行の流動性リスクは金融システム全体のレベルでは抑制されているように見えるが、一部の銀行は、とりわけ外貨エクスポージャーが大きいことを理由に、ストレスシナリオの下で圧力を受ける可能性がある。気候変動リスク分析は、不確実性はあるものの、銀行の排出集約的なセクターに対するエクスポージャーが顕著である一方、金融システム全体のレベルでは2050年までのネットゼロ排出への移行に対するレジリエンスがある可能性を示唆している。

  • 困難かつ変転するリスク環境を管理するために、金融監督と危機への備えの枠組みを一段と強化しなければならない。銀行の監督に対するリスクベースのアプローチを、更に発展させるべきである。すべての銀行に対して流動性に関する適切な最低要件を設けるべきだが、自己資本要件は個々の銀行のリスクプロファイルに合わせて調整することが必要である。保険会社に対しては、リスクベースで能動的な包括的監督枠組みを確立すべきである。マクロプルーデンスの枠組みは、金融庁・日本銀行連絡会(CCFS)のマンデートを明確化し、マクロプルーデンス・ツールキットを拡大することで、さらに強化し得る。世界的なサイバーセキュリティリスクの高まりを背景に、サイバーセキュリティに関する規制・監督の枠組みを強化する必要がある。より多くの銀行を、再建・破綻処理計画策定を求める対象とすべきである。当局は引き続き、保険会社と中央清算機関(CCP)向けの、効果的な再建・破綻処理(計画策定)体制を確保すべきである。それは関連する国際基準及びガイダンスと整合的でなければならない。優先課題として、金融機関の監督・破綻処理を強化するための職員を大幅に増やす必要がある。
  • 構造政策
  • 出生率の支援や、女性リーダーの登用、より平等な社会の推進、スタートアップとイノベーションの加速、グリーン経済への移行のためには、さらなる構造改革が必要である。その際、労働市場改革を改革アジェンダの最前線に据える必要がある。

日本の出生率支援と女性リーダーの登用

高齢化によって労働力人口が減少する中で、出生率の支援、女性の経済参加の増加、女性の能力の有効活用は、日本の潜在成長率を押し上げ得る。以下の分野で改革を進めることが女性のキャリアの見通しを改善する鍵となり、ひいては日本の出生率を後押しする。

  • 保育施設と子育て関連のリソースを拡大し、父親の家庭・育児への貢献を促進。 特に2歳未満の子供を対象とした保育施設のさらなる拡充は、出生率支援のために重要である。人手不足を解消する外国人労働者(保育士など)を呼び込むことは、保育施設による支援を補完する。同時に、男性の育児休暇取得のインセンティブを高めることで、母親の育児負担を軽減することができる。男性の育児休暇の活用は増えているものの、依然として少ない。
  • 現在の雇用慣行の改革。テレワークや柔軟な勤務スケジュールの採用を拡大することで、職場の文化的な変化を促進し、女性(特に幼い子供がいる女性)が労働市場に参加出来るよう支援すると同時に、家庭のケアにかかる負担を男性がより多く分担できるようにする。
  • 労働市場改革。政府は過去10年間、女性の労働参加率を高めることに成功しているが、男女格差は大きいままである。女性労働者の多くは非正規雇用やノンキャリアの職種であり、賃金が低く、スキル開発やキャリアアップの機会が限られている。労働市場の二重構造を解消し、業績に基づく昇進を奨励し、労働力の流動化を促すことで、女性のキャリアの展望を広げることができる。
  • より平等な社会の実現に向けて
  • 日本の市場所得の格差は拡大しており、現在はOECD平均に近づいている。社会保障の再分配効果は、所得格差の縮小に役立っている。しかし、多額の公的債務によって、社会的支出を広範に拡大する余地は限られているため、社会保障の給付は、最も脆弱な人々を保護することを目的に、より的を絞って行われるべきである。さらに、労働市場の二重構造を是正し、労働時間を制限する社会保障制度の阻害要因を取り除く改革が、より平等な社会を実現するための持続可能な手段である。
  • スタートアップとイノベーションの加速
  • 日本のスタートアップエコシステムは近年、発展しているが、さらなる拡大の余地がある。日本のスタートアップは、ベンチャーキャピタルによるエクイティファイナンスがGDPに占める割合が相対的に低く、他国に比べて規模が小さい傾向にある。エクイティファイナンスへのアクセスを改善することが、スタートアップが成長し、イノベーションを起こし、出口において成功する上で不可欠である。企業の参入と退出が活発化することで、起業家精神、イノベーション、およびリソースのより効率的な配分は促進され得る。労働市場の柔軟性が高まり、終身雇用制度から移行することで、有能な人材が起業を検討し、失敗した場合にセカンドチャンスを得ることができ得る。
  • グリーン経済への移行

気候変動に関する日本の目標を達成するためには、さらなる政策が必要である。カーボンプライシングの拡大とカーボンクレジット取引の導入は、これまでのIMF職員の助言と概ね一致しているが、計画されている措置を一段と明確化する必要がある。カーボンプライシングが、分配上は負の影響をもたらし得る点を踏まえると、グリーン経済への移行において脆弱な人々を保護することが極めて重要である。ガス、電気、燃料に関する的を絞らない補助金の段階的廃止は、移行を後押しするであろう。

その他の改革の継続

デジタル化とコーポレートガバナンスの改革は続けるべきである。デジタル庁は、引き続き公共部門をデジタル化するための政策を調整・実施すべきである。中央政府と地方政府間のデータ共有を改善し、地方自治体のITシステムを標準化することで、最も脆弱な世帯への的を絞った給付を改善することができる。コーポレートガバナンスを確実に実効性のあるものにし、開示基準を改善することが不可欠である。

日本は、ルールに基づく多国間貿易体制の強化に向け、引き続き国際的なパートナーと積極的に協力すべきである。貿易協定は、加盟国間のさらなる統合のために活かすことが重要である。

産業政策は、外部性や市場の失敗が、市場を通した効果的な解決を妨げる場合に特定の目的に対し狭く的を絞って慎重に追求されるべきであり、貿易や投資の歪みを最小化することを目指すべきである。先進国による産業政策の追求と競争は、グローバルサプライチェーンのさらなる緊張、技術の分断化、投入コストの上昇、貿易をめぐる緊張の高まり、多国間協調の縮小につながる可能性があり、その結果、強力な多国間貿易体制に対する日本の広範な支持が弱まる可能性がある。さらに、産業政策は、輸入よりも国内生産者を優遇したり、貿易と投資のグローバルなシステムの分断をもたらすインセンティブを生み出すことは避けるべきである。

IMF訪問団は日本当局および日本の協議参加者による率直かつオープンな協議に感謝します。また、IMFを代表して、能登半島地震で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

日本:主な経済指標( 2020-25)

名目GDP:4兆2,560億米ドル(2022)

1人当たりGDP:34,005米ドル(2022)

人口:1億2,500万人(2022)

クォータ:308億SDR(2022)

2020

2021

2022

2023

2024

2025

予測

(%変化)

成長率・伸び率

実質GDP

-4.1

2.6

1.0

1.9

1.0

0.8

国内需要

-3.3

1.5

1.5

1.0

1.0

0.9

民間消費

-4.4

0.8

2.2

0.9

0.8

0.7

民間設備投資総額

-5.4

0.3

0.9

1.5

1.6

1.8

企業投資

-4.9

0.5

1.9

1.5

1.9

2.1

住宅投資

-7.7

-0.3

-3.5

1.4

0.4

0.1

政府支出

2.4

3.4

1.7

0.9

1.1

0.2

公共投資

3.5

-1.8

-9.6

1.9

-0.7

-0.8

在庫積増

-0.5

0.2

0.4

0.0

0.0

0.1

純輸出

-0.8

1.0

-0.5

0.7

0.1

-0.1

財・サービスの輸出

-11.6

11.9

5.3

2.3

3.2

2.5

財・サービスの輸入

-6.8

5.1

7.9

-1.2

2.8

3.2

需給ギャップ

-2.9

-1.6

-0.9

0.2

0.3

0.2

(変化、年平均)

物価上昇率

消費者物価指数(CPI)総合指数

0.0

-0.2

2.5

3.3

2.2

2.1

GDPデフレーター

0.9

-0.2

0.3

4.0

3.0

2.3

(GDP比)

政府

歳入

35.5

36.4

37.6

36.5

35.8

36.5

歳出

44.5

42.5

41.9

42.1

42.2

39.5

財政収支

-9.1

-6.1

-4.4

-5.6

-6.4

-3.0

基礎的財政収支

-8.4

-5.5

-3.9

-5.5

-6.3

-2.8

構造的基礎的財政収支

-7.5

-4.8

-3.9

-5.6

-6.4

-2.8

公的債務(グロス)

258.3

253.9

248.7

251.7

251.6

250.2

(%変化、期末)

マクロ金融

マネタリーベース

19.2

8.5

-5.6

6.4

2.9

2.2

ブロードマネー

7.3

2.9

2.2

2.9

1.8

1.7

民間部門への信用供与

6.1

1.9

4.2

4.1

2.7

2.1

非金融機関債務(対GDP比)

151.8

155.0

159.4

154.3

153.5

153.8

(%)

金利

無担保コールレート翌日物 (期末)

0.0

0.0

0.0

10年物国債利回り(期末)

0.0

0.1

0.4

(10億米ドル)

国際収支

経常収支

149.9

196.4

84.5

148.4

159.4

160.1

対GDP比%

3.0

3.9

2.0

3.5

3.7

3.6

貿易収支

26.6

16.4

-117.5

-50.7

-24.4

-30.4

対GDP比%

0.5

0.3

-2.8

-1.2

-0.6

-0.7

財輸出(FOB)

630.6

749.2

751.8

708.0

733.9

768.7

財輸入(FOB)

604.0

732.7

869.4

758.7

758.3

799.1

エネルギー輸入

89.1

127.8

195.5

162.2

155.1

146.1

(対GDP)

対内直接投資(純額)

1.7

3.5

2.9

2.8

3.0

2.9

証券投資

0.8

-3.9

-3.4

-1.3

-1.3

-2.0

(10億米ドル)

外貨準備高の変化

10.9

62.8

-47.4

11.5

11.5

11.5

外貨準備高(金を除く)(10億米ドル)

1348.2

1356.2

1178.3

(年平均)

為替相場

円・ドル

106.8

109.8

131.5

円・ユーロ

121.9

129.9

138.6

実質実効為替相場(2010年を100とするULCベース)

75.3

73.5

62.0

実質実効為替相場(2010年を100とするCPIベース)

77.3

70.7

61.0

(%)

人口動態指標

人口増加率

-0.3

-0.3

-0.3

-0.4

-0.5

-0.5

老年人口指数

48.3

48.7

48.9

49.3

49.8

50.3

出所:Haver Analytics、経済開発協力機構(OECD)、日本政府当局、IMF職員の試算と予測。

[1] Ranil Salgadoを団長とし、Kohei Asao, Yan Carriere-Swallow, Salih Fendoglu, Purva Khera, Chris Redl, Haruki Seitani, and TengTeng Xuを含むIMF訪問団は、2024年1月25日から2月7日 まで日本で面会を実施した。訪問団は、財務省、日本銀行、その他の省庁並びに政府機関、労働組合、経済界、金融業界、学界と面会した。

IMFコミュニケーション局
メディア・リレーションズ

プレスオフィサー: Huong Lan Vu

電話:+1 202 623-7100Eメール: MEDIA@IMF.org