IMF総務会、第16次クォータ一般見直しの下でのクォータ増額を承認
2023年12月18日
ワシントンDC : 国際通貨基金(IMF)総務会は2023年12月15日、第16次クォータ一般見直しを完了し、IMF加盟国のクォータを50%(2,386億SDR、米ドル換算で3,200億ドル)増額することを承認した。これにより、クォータの総額は7,157億SDR(9,600億ドル)となる。 [1] 2023年12月15日の投票期限終了時点で、総議決権の92.86%を占める総務が決議に賛成票を投じ、採択に必要な85%を上回った。
総務会の決議は、11月7日のIMF理事会の提案(プレスリリースNo. 23/383参照)に基づくものであり、IMFの融資能力の規模と財源の構成についても指針を示している。具体的には、本決議では、承認されたクォータ資金増額と借入資金への依存低減の組み合わせにより、IMFの現在の融資能力を維持することが想定されている。クォータ増額が発効した際には、新規借入取極(NAB)から成る借入資金が縮小され、国別借入取極が段階的に廃止されることになる。NABの規模縮小と、IMF借入へのアクセスを維持するための過渡的な取極に関する提案は、債権者と協議した後、2024年初頭に理事会において議論されることになる。
クリスタリナ・ゲオルギエバIMF専務理事は、「総務会が第16次クォータ一般見直しを成功裏に完了し、IMFの恒久的財源の50%増額という結果がもたらされたことに感謝の意を表明します。今回の決定に対する加盟国からの圧倒的な支持は、IMFの取り組みに対する強力な信任投票となるものです。この決定はIMFの借入資金への依存を低減させ、IMFの融資能力におけるクォータの主要な役割を回復し、国際金融セーフティネットの中心にあるIMFの役割を強化することになります。さらに、世界の金融安定の確保に貢献し、不確実でショックが発生しやすい世界において加盟国の潜在的なニーズに応えるIMFの能力を高めることにもなるでしょう」とし、「加盟国がこの重要な合意をタイムリーに実施に移すことを期待しています」と述べた。
総務会による承認に続いて、加盟国がそれぞれのクォータ増額に同意することが次のステップとなる。加盟国は、2024年11月15日の期限までに、このステップを迅速に完了することにコミットしている。それには、多くのケースで立法府の承認が必要となる。
理事会はまた、最も貧しい加盟国のクォータシェアを保護しつつ、世界経済における各加盟国の相対的な地位をより良く反映させるためにクォータシェアを調整することの緊急性と重要性を認識し、そのことを総務会に報告した。この文脈において、総務会は、第17次クォータ一般見直しの下で、新たなクォータ計算式を通じたものを含め、さらなるクォータシェアの調整に向けた指針として考えられる複数のアプローチを2025年6月までに策定するよう取り組むことを求めた。
別紙
IMFの最高意思決定機関である総務会は、各加盟国が1名ずつ任命した総務と総務代理で構成される。総務と総務代理は加盟国によって任命されるが、通常、財務大臣または中央銀行総裁が総務を務める。総務会または理事会、専務理事に直接付与されていない権限はすべて総務会に属する。総務会は、IMF協定によって直接付与されていない権限を理事会に委譲することができ、実際に委譲している。総務会は通常、年に1度開催される。
理事会 は、IMFの日常業務の執行に責任を持つ。現在、理事会は、加盟国または加盟国グループによって選任された24名の理事によって構成されている。理事会の議長である専務理事は、IMFの運営を担う全職員の長を務め、理事会の指導の下でIMFの通常業務を指揮する。理事会は継続的に業務を行い、IMFの業務の必要に応じて会合を開く。理事会は、その職務を遂行するに当たり、IMF職員が作成するペーパーに示されたマネジメントの提言に概ね基づいて業務を行う。
クォータ は、IMFの財務・ガバナンス構造の基本となる構成要素である。各加盟国にはIMF加盟時にクォータが割り当てられ、各国は自国のクォータを全額払い込む必要がある。クォータは、IMFの会計単位である特別引出権(SDR)で表示され、定期的に見直しが行われる。各加盟国のクォータは、世界経済におけるその国の相対的地位を概ね反映している。クォータは、IMFの意思決定機関における各加盟国の議決権や、各加盟国のIMF融資へのアクセス、SDRの一般配分における各加盟国のシェアを決める上で重要な役割を果たしている。
新規借入取極 :新規借入取極(NAB)は常設的な信用取極のひとつであり、利用可能なクォータ資金がIMFの資金支援に対する加盟国からの需要を下回る場合に、参加者(加盟国および諸機関)がIMFに対して追加的な資金提供を行うことにコミットするものである。NABはクォータに次ぐ第2の防衛線となっている。現在、40の参加国・機関がIMFの総財源に対して総額で3,640億SDR(4,850億ドル)を拠出している。
国別借入取極 :IMFが多くの国と締結している国別借入取極は、IMFが十分な融資能力を確保するために借入を行うことを可能にし、クォータとNABに次ぐ第3の防衛線として機能している。現在、42の債権国と国別借入取極が締結されており、IMFの総財源に対して1,410億SDR(1,880億ドル)が拠出されている。2020年に締結された国別借入取極の当初の期間は2023年末までの3年間であり、債権者の同意を得て2024年末まで延長が可能である。
関連リンク:
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IMFのクォータとガバナンスに関する公表資料
http://www.imf.org/external/np/fin/quotas/pubs/index.htm
クォータに関するファクトシート
http://www.imf.org/external/np/exr/facts/quotas.htm
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