IMF理事会、14億米ドルの対ウクライナ緊急支援を承認
2022年3月9日
ワシントン DC: 国際通貨基金(IMF)理事会は本日、至急必要となる資金ニーズを満たし戦争による経済的打撃を和らげることに貢献すべく、 ラピッド・ファイナンシング・インストルメント(RFI) の下で14億米ドル(10億590万SDR)を提供することを承認した。
理事会はウクライナの国民への強い支持を表明した。
ウクライナでの戦争により人命が失われ多くの人が苦しんでいる。見通しは極めて不透明であるが、すでに非常に深刻な経済的影響が見られる。隣国へ流れ込んだ難民はわずか13日間で200万人を超え、ウクライナの主要なインフラは大きく破壊している。RFIの下で提供される資金はウクライナのIMF クォータの50%に相当し、今も続く戦争から生じる国際収支上の差し迫ったニーズを満たす助けとなるほか、ほかのパートナーからの資金調達を促進する役割を果たしつつ短期的に重要な支援となる。
ウクライナ当局は現在のスタンドバイ取極を中止し、状況が許すようになった段階でIMFと協力し、復興と成長を目的とする適切な経済プログラムを計画する意向を示した。当局は引き続きIMF職員と緊密に協議しながら効果的な緩和措置を計画・導入していく意向だ。
理事会の協議で議長を務めたクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事は協議後、以下の声明を発表した。
「ロシアのウクライナへの軍事侵略により多大な人的・経済的被害が出ています。悲劇的な人命喪失や大規模な難民の流れ、インフラの崩壊や生産能力の減少による人的被害は大きく、今年は深刻な景気後退に陥る見込みです。資金調達のニーズは大きく、緊急を要し、戦争が続けば大幅に増えるとみられます。
ウクライナ当局の緊急の政策対応は素晴らしいものでした。外貨準備のアクセスを維持し、為替レートの不透明性を軽減するために行政・資本面での規制が導入されました。金融安定を一段と下支えするため、ウクライナ国立銀行(中央銀行)は流動性を提供する制度を新設したほか、規制の先送り対策も導入しました。現金の引き出しに上限が設けられたものの、キャッシュレス決済は制限されていません。財政政策は優先順位の高い支払いが滞らないことに重点を置ています。ウクライナはすべての債務返済を続けています。
このような異常な背景の下、IMFは重要な金融支援を承認しました。これは、資金不足を補い、戦争の経済的影響を緩和するために必要となる追加の譲許的資金の大規模な動員を促す上で役立つはずです。戦争が終わり、被害に関する適切な精査ができるようになった際には、再建を支えるために多額の支援が追加で必要となる見込みです。
IMFは、こうした非常に困難な時期を過ごすウクライナの人々に心よりお見舞い申し上げます。
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