IMF専務理事、6,500億ドルの特別引出権(SDR)配分の発効を発表

2021年8月23日

ワシントン DC :

国際通貨基金(IMF)のクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事は本日、以下の声明を発表した。

本日、史上最大となる約6,500億ドルの特別引出権(SDR)配分が発効します。この配分は、世界にとって強力なカンフル剤となるもので、賢明に活用されれば、現在の未曾有の危機に対処する上でまたとない機会となります。

SDRの配分によって世界経済システムに追加的な流動性が供給され、各国の外貨準備が補充されるとともに、より高コストの対内債務や対外債務に対する各国の依存を低減させることになります。各国は、SDRの配分によってもたらされる余地を、経済の下支えや危機対策の強化に用いることができます。

SDRは、各国のIMF出資割当額の比率に応じて配分されます。新興市場国・発展途上国には約2,750億ドルが配分され、そのうち約210億ドルは低所得国が受け取ることになります。これは、場合によっては、GDPの6%にも相当する規模です。

SDRは貴重な資源であり、それを最大限に活用する方法の決定は各加盟国に委ねられています。SDRを加盟国と世界経済にとって利益が最大となるように用いるために、そうした決定は慎重で十分な情報に基づいたものでなければなりません。

各国を支援し透明性と説明責任の確保に貢献すべく、IMFは、新規配分がマクロ経済に与える影響や新規配分の統計処理とガバナンス、そして新規配分が債務の持続可能性にどのような影響を及ぼしうるかを評価するための枠組みを提供しています。IMFはまた、2年後にSDRの活用に関するフォローアップ報告書を作成することを含め、SDRのあらゆる保有・取引・売買に関して定期的に最新情報を提供することとしています。

今回の配分のメリットを増幅させるために、IMFは、対外ポジションが強固な国々が最も支援を必要としている国々に対してSDRの一部を自主的に振り向けることを奨励しています。ここ16か月の間に、すでに一部の加盟国が、低所得国向けに譲許的融資を提供するIMFの貧困削減・成長トラストに対して150億ドル相当の既存のSDRを含む240億ドルの融資を行うことを約束しています。これは出発点にすぎず、IMFはこうした取り組みを足掛かりに、引き続き加盟国と協力していく所存です。

IMFはまた、「強靭性・持続可能性トラスト」を新設する可能性について、加盟国と話し合いを行っています。これは、最も脆弱な国々が気候関連課題への対処を含む構造転換を行うのを支援すべく、振り向けられたSDRを活用できるようにするものです。もうひとつの可能性として、多国間開発銀行による融資を支援するためにSDRを振り向けることも考えられるでしょう。

今回のSDR配分は、パンデミック下における各国の支援というIMFのより広範な取り組みにおける重要な要素のひとつとなるものです。IMFでは他にも85か国を対象とする1,170億ドルの新規融資や低所得国29か国を対象とする債務救済、力強くかつより持続可能な回復を確保するための175か国以上に対する政策助言と能力開発支援などを行っています。

特別引出権(SDR)の詳細はこちらのリンク先をご確認ください: 特別引出権(SDR)(imf.org)

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