第 42 回国際通貨金融委員会(IMFC)コミュニケ

2020年10月15日

我々は、新型コロナウイルス(COVID-19)による人命の損失に対し、お悔やみ申し上げるとともに、パンデミックが世界中の人々に与えている保健及び経済上の影響を軽減するという我々のコミットメントを再確認する。

並外れたマクロ経済上の政策対応に支えられ、世界経済の一時的な回復が進んでいる。しかし、回復は部分的で、ばらつきがあり、大きな不確実性が伴い、所々でパンデミックが広がり続けている。危機は、生産性の伸びの鈍化、債務負担の増大、金融の脆弱性の高まり、貧困や不平等の拡大など、世界経済に長きにわたる傷跡を残すおそれがある。また、その他の長期的課題も、未だ残っている。

経済の回復を支えるために、我々は、異なる危機の段階や各国固有の状況に応じた、並外れた機敏な政策対応を維持する。我々は、個別的及び集団的に、信認、雇用及び成長を回復させるために、全ての利用可能な政策ツールを用いることにコミットする。我々は、最も脆弱な国々及び人々を支援する用意がある。我々は、全ての人々への公平かつ手頃なアクセスを支援する目的の下、新型コロナウイルスの診断法、治療薬及びワクチンの研究、開発、製造及び分配を加速させるための国際的な協調の必要性を強調する。これは、パンデミックを克服し世界経済の回復を支える鍵となる。我々は、危機が収束していくに応じ、債務の持続可能性を維持しつつ、雇用・脆弱な人々・存続可能な企業への影響を緩和しながら、財政資金を広範な支援からより的を絞った支援へと徐々に移行させるとともに構造転換を促進することで、引き続き成長の強固な回復を目指す。金融政策は、中央銀行のマンデートと整合的な形で、引き続き緩和的であるべき。我々は、金融の脆弱性や金融安定性に対するリスクについて、マクロプルーデンス政策を含む手段によって監視し、必要に応じて対処していく。我々は、我々の為替相場のコミットメントを再確認する。

我々は、危機以前のアジェンダと整合的な方法で、現在の経済、社会、環境、技術及び人口動態の変容を最大限活用しつつ、強固で、持続可能で、均衡のとれた、包摂的な成長を達成するための我々の取組を維持し、強化する。我々は、成長、雇用、生産性を引き上げるために、構造改革を推進する。自由で、公正で、互恵的な物品・サービス貿易及び投資は、経済成長及び雇用創出の主要な原動力である。我々は、社会的・経済的なリターンが大きい投資を促進し、課題に対処しつつデジタル経済の可能性を切り拓いていくことを目指す。我々は、汚職への対処等による強固なガバナンスへの我々のコミットメントを再確認する。我々は、よく機能する国際金融システムを維持し、国際的な枠組みや協調を強化するための取組を促進する。我々は、脆弱な国々の資金需要に対応するため協働することにコミットする。我々はまた、債務者と公的・民間の債権者双方による債務透明性と持続可能な貸付慣行の強化に、引き続き共に取り組む。我々は、債務の持続可能性を維持するための、あるいは債務が持続不可能な場合にはそれを回復するための、各国の取組を支援し、全ての利害関係者と共に、国家債務再編のためのアーキテクチャの改善に取り組む。

我々は、専務理事のグローバル政策アジェンダを歓迎する。

我々は、政策助言、能力開発、迅速な金融支援を通じた、加盟国の危機克服を支援する IMF の例外的な行動を歓迎する。我々は、IMF が関係機関との緊密な連携の下、引き続き強力に関与することを期待する。このため、我々は、パンデミックによる不確実な環境下で、加盟国の資金需要への対応を支援するため、IMF が貸出手段を十分に活用し、必要に応じさらに適応させていく取組を支持する。また我々は、IMF が、過去の危機における経験を踏まえ、危機の進展に応じた加盟国の資金需要を満たす追加的手段を引き続き模索することを支持する。我々は、IMF が焦点を絞った二国間サーベイランスを再開することを支持する。我々は、IMF が引き続き、長期的で緊急性が増している課題への対処も含め、危機に関連した問題に焦点を当て、より強靭な世界経済を構築するために加盟国を支援することを歓迎する。この文脈において、我々は、社会的支出、ガバナンス、気候変動、フィンテック及びデジタル化に関するマクロ経済的な影響と政策等の課題について、マクロ的に重要かつマンデートと整合的な場合において IMF が取り組むことを支持する。我々は、IMF が、小国や脆弱国、紛争被害国及び難民受入国が直面している特定の課題への対処を助けるための支援を強化していることを支持する。

最も貧しく脆弱な加盟国は、実質的な市場アクセスを持たないことから、IMF がこうした国々を支援できることの確保を行う必要がある。我々は、大災害抑制・救済基金(CCRT) の下での債務救済の更なる 6 ヶ月間の延長と、貧困削減・成長トラスト(PRGT)の追加融資原資の確保における進捗を歓迎する。我々は、PRGT 及び CCRT のリソースをさらに拡大するための IMF の取組を支持し、新たな参加国からのものも含め、追加の資金拠出に期待する。我々は、債務支払猶予イニシアティブ(DSSI)の延長を支持する。我々は、民間債権者の DSSI への参加に係る進捗の欠如に失望しており、適格国から要請があった際には、同等の条件で参加することを民間債権者に強く奨励する。我々は、公的な二国間債権者の完全な参加を奨励する。我々は、IMF に対して、世界銀行とともに、引き続き効果的かつ透明性の高い DSSI の実施を支援することを求める。我々は、パリクラブでも合意されている

「DSSI 後の債務措置に係る共通枠組」について G20 が原則的に合意したことを歓迎する。我々は、2020 年 11 月の G20 財務大臣・中央銀行総裁会議までに、「共通枠組」が公表されることを期待する。我々はまた、IMF が、公的債権者間の協調の強化を支援し、民間債権の再編のための国際的なアーキテクチャにおけるギャップを特定し、民間債権者及びその他の利害関係者に関与し、公的債務に関する IMF の政策を見直すことによって、適時かつ包括的な債務再編の促進に引き続き取り組むことを歓迎する。我々は、IMF に対し、途上国の対外資金需要と、持続可能な資金調達の選択肢に関する分析の準備を求める。

我々は、グローバル金融セーフティーネットの中心にあり、強固で、クォータを基礎とし、かつ、十分な資金基盤を有する IMF への我々のコミットメントを再確認する。我々は、新規借入取極(NAB)の倍増及び二国間借入取極(BBA)の延長を 2021 年 1 月 1 日に発効させるための進捗を歓迎し、すべての NAB 及びBBA の参加国に、参加に関する国内の承認を可能な限り速やかに確保することを求める。我々は、IMF の資金に対する需要を引き続き精査していく。我々は、クォータの十分性について再検討することに引き続きコミットし、2023 年 12 月 15 日までに、指針としての新クォータ計算式を含め、第 16 次クォータ一般見直しの下で IMF のガバナンス改革のプロセスを継続していく。

次回 IMFC 会合は、2021 年 4 月 10 日に開催される予定である。

参加者一覧は下記ページに掲載

https://www.imf.org/en/News/Articles/2020/10/15/attendance-list-communique-of-the-forty-second-meeting-of-the-imfc

 

 

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