新型コロナウイルスの世界的流行を受けてIMFは適格低所得国支援のために債務救済基金を強化

2020年3月27日

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)危機への直接的な対応策として、国際通貨基金(IMF)理事会は、IMFが最も脆弱な最貧国の加盟国に対して債務救済を提供できるよう、大災害抑制・救済基金(CCRT)の即時強化策を採択した。CCRTは、壊滅的な自然災害や、大規模かつ急速に拡大する公衆衛生上の緊急事態の発生を受けて、IMFが適格の低所得国に対して債務救済のための贈与を提供することを可能にするものだ。

新型コロナウイルスの流行と、それに関連した経済の混乱によって、IMF加盟国を支援する重大な必要性が生じている。それには、世界的な流行の影響を特に受けている最も貧しい加盟国の国際収支に関する特別な支援も含まれる。対象をしっかりと絞った支援により、こうした国々は、所得急減や歳入収・歳出増を特徴とする困難な経済環境において、医療費や保健関連等、緊急ニーズを優先できるようになる。

そのような点を考慮して、IMFはCCRTの適格基準を拡大する変更を採択した。これは、感染症の世界的流行によって生じる状況をより広く対象に含められるようにし、最も緊急のニーズに対する支援の提供に注力することを目的としている。特に、この決定によって、1人あたり所得が世界銀行の譲許的支援の基準値を下回っている全加盟国が最長2年間、債務救済資格を得られるようになる。これが適用されるのは、生命を脅かす感染症の世界的流行がIMFの加盟国全体に深刻な経済的混乱をもたらし、最も脆弱な最貧国を支援するための協調的な国際的努力が当然必要とされる規模で国際収支上のニーズが生じている時である。

IMFは、CCRTが現在のパンデミックに関して約10億ドルを提供できるよう、資金確保の活動も開始した。ゲオルギエバIMF専務理事は、経済力がより大きな加盟国に対して、世界の最貧国向けにわずか2億ドルしか用意がなかった CCRTの増資に貢献すること を呼びかけた。英国が これに応じ 、1億5,000万ポンド(1億8,300万ドル)の拠出を約束している。日本や中国など、他のドナー国も多額の拠出に応じようとしている。

「IMFのCCRTが刷新された今、最も脆弱な最貧加盟国の中でも以前よりも多くの国を対象に、対IMF債務の迅速な救済を行えるようになりました。これにより、当該の加盟国は希少な財源のより多くを医療や救援など命に関わる緊急の取り組みに振り向けることができます」とゲオルギエバ専務理事は述べた。「さらに、私たちはドナー国に対して、IMFが最貧加盟国向けにさらなる債務救済を提供する能力を強化できるよう、CCRTの増資をお願いしています」。

背景

大災害抑制・救済基金(CCRT)は、貧困国が深刻な自然災害に見舞われた場合、あるいは現下の新型コロナウイルスの世界的流行など公衆衛生危機に対応する場合に、IMFが債務救済のための贈与によって国際的な債務救済努力を支援することを可能にするものだ。

CCRTの前身は、ハイチにおける地震への対応として、2010年に同国に対し約2億7,000万ドルの援助を提供するために活用された。その後、エボラ危機の影響を最も受けた3か国(ギニア、リベリア、シエラレオネ)に対して約1億ドルの贈与を提供するために2015年に改められた。

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