G20特別首脳会議におけるゲオルギエバIMF専務理事の発言

2020年3月26日

G20首脳による電話会議を受けて、クリスタリナ・ゲオルギエバ国際通貨基金(IMF)専務理事は本日、次の声明を発表した。

人々の暮らしと世界経済を守るために国際社会が結束できるよう、G20議長国であるサウジアラビアが特別首脳会議を招集してくださったことをありがたく思っております。私たちは世界経済が2020年にはマイナス成長となり、2021年に回復することを見込んでいます。世界経済の縮小幅と回復ペースは、ウイルスの世界的流行をどれだけ速く封じ込められるか、また金融政策・財政政策面での対策をどれだけ強力かつ協調的に進められるかにかかっています。

G20首脳の皆さまは人々の命を救い、自国経済を守るために異例の措置をこれまでに講じられてきました。

とりわけ重要なのは、脆弱な世帯に対象を絞り、また、大小の企業に対して、財政政策による支援を行うことです。こうした支援によって、この局面を何とか切り抜け、速やかに仕事を再開することができます。こうした支援なしには、倒産や解雇が大きく広がり、その影響を克服するまでに何年も時間がかかってしまうでしょう。

こうした支援が行われることで、後日の回復を加速させることができ、また、過剰債務や貿易フローの断絶といった課題に対策を講じる上で、私たちの態勢はより整っていることになるでしょう。

この危機の矢面に立つことになった新興市場国と発展途上国が危機を克服し、成長を回復する力となれるように、これらの国々を支える大切さを私たちが認識することが最重要となっています。保健危機、世界経済の急停止、安全を求めた資本の逃避が組み合わさって、新興市場国と発展途上国はとりわけ大きな打撃を受けています。中には、一次産品価格の急落に直面している国々もあります。IMFはこうした国々に特に大きな注意を払うようにしています。新興市場国・発展途上国を守るために活用できる総額1兆ドルという相当の融資能力をIMFは持っており、世界銀行など国際金融機関(IFI)とも緊密に協力しています。しかし、課題は困難なものです。

  • 非常に多くの国々がIMFによる緊急融資を一斉に要請しています。

  • 史上最大規模の資本流出に見舞われ、外貨の流動性不足が深刻な新興市場国がとても大きな影響を受けています。

  • 多くの低所得国が大きな債務負担を背負いながら、危機に突入しつつあります。

この試練の重さに見合うだけの行動を起こすべきです。IMFにとってはつまり、危機対応策がさらに強力なものになるよう、皆さまと協力させていただくことを意味しています。そのために、私たちは次の点に関して、皆さまの支持をお願いしたい所存です。

  • 緊急融資能力の倍増。

  • 大規模な特別引出権(SDR)の配分によって世界的な流動性を高める。世界金融危機時の2009年に実現できた配分と同様に行い、また、IMFにおけるスワップ型制度の利用によって拡大を図る。

  • 世界的な景気後退が起こっている間、最貧国加盟国の債務負担を軽減するために二国間債権国が行っている措置を支援する。    

この危機を一緒に切り抜けていきます。力を合わせることで、より迅速かつ強力な回復のための土台を築けるのです。


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