インドネシアは西ジャワ州デポックにあるインドネシア大学で授業を受ける学生の姿 インドネシアでは教育を改善することで、若年層の雇用を促進できるだろう  (写真: Zulkarnain Xinhua News Agency/Newscom)

インドネシア、若者のための雇用創出                            重要な5つのグラフ

2018年2月7日

インドネシア経済は堅調に成長し続けており、2018年の経済成長率は5.3%だと予測されている。IMFがインドネシア経済を対象に行った最新の評価に基づくと、こうした成長の主な理由は、投資が加速しており、一次産品価格が上昇していることである。

インドネシアは若者が多い国で、人々の年齢の中央値は28才である。したがって、若年労働力人口の増加をうまく活かす必要がインドネシアにはあるし、同時に、経済成長を加速させ、より質の高い雇用を創出するために、改革をさらに積極的に進める必要がある。

IMFはこの分野での改革が必要だと提案しているが、その理由を次の5つのグラフが示している。

1. インドネシア経済は力強く成長し続けているが、その成長率は以前よりも少し低下している。インドネシアは、2014年以降の経済成長率が約5%で安定的に推移しており、最も急速に成長する新興市場国のひとつであることに変わりはない。しかし、2014年までの10年間と比較すると経済成長率は0.7%ポイント低くなっている。近年、経済成長率が低下している背景には、輸出や機械設備などに対する設備投資が落ち込んできていることがありそうだ。

  

2. しかし、労働年齢人口 (15-64才) の割合は高まる一方で、さらなる雇用が必要になる。インドネシアの人口は世界第4位で、人口の転換期を迎えている。総人口に占める労働年齢人口の割合は今後も2030年まで上昇し続けると予測されている。若者の割合が高く増加を続ける労働人口に見合った質の高い雇用が必要となる。それがゆえに、今、さらなる経済成長をもたらす構造改革を実行するべきなのだ。構造改革によって、人口に占める高齢者の割合が高まる前に、人口ボーナスを活かし、豊かな経済成長を実現することが可能になる。

    

3. インドネシアはインフラ開発を優先し続けるべきだ。インドネシア政府は247の国家戦略プロジェクトを含む意欲的なインフラ開発計画に取り組み始めており、この総費用はGDPの32%に相当する。この計画では、物流や発電、水道や下水、石油精製を改善することが目指されている。政府によるインフラ支出は、税収の支えを受けて、今後も開発計画の成功を担保するものでないといけない。インフラ開発はまた、民間投資を刺激し、潜在成長率を押し上げるだろう。この結果、雇用創出も促進されるだろうし、若年層の労働者もより多くの雇用機会に恵まれることになるだろう。

 

4. 雇用創出を促進するために、複数の許認可が必要な状況を減らすなど、経済活動に対する行政上の障壁をさらに取り払うべきだ。とりわけ電力や運輸交通といった産業における国家統制や参入障壁を減らし、貿易や海外直接投資に関連した規制を緩和することで、競争力強化や輸出増を促進することが可能になる。力点を置くべきなのは、規制の矛盾を避けるために各省庁・地方政府間の調整を改善することである。

 

5. 若年層に優れた雇用機会を提供する上では、教育の質の改善と労働規制の緩和が非常に重要になる。近年に改善は見られたものの、インドネシアにおける教育の質は低いままだ。教育の質を改善するには、教育セクターで成果と報酬の関係をより明確にすることによって、支出の効率性を高める必要がある。こうした施策によって節約できる費用と新たな資源は、特に農村部において、高品質の教育を受ける機会の拡大に用いることできる。職業訓練や職業紹介を強化しつつ、解雇手続や解雇手当など雇用を守る厳格な規制を効率化することで、若年層の雇用を促進し、短期契約の利用を減らすことができるだろう。



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