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アジア・アメリカの債務問題専門家ら、政府債務と企業債務問題を議論

[2020年2月4日、東京] 政府債務と企業債務を巡る課題に取り組むため、アジアとアメリカの債務問題専門家が今日、東京に集い、政府債務のデフォルトリスクやマクロ経済的含意などに関する研究結果を発表し、政策立案者らと意見を交換しました。

今回のワークショップは、IMFアジア太平洋地域事務所(OAP)と財務省財務総合政策研究所が、研究者や政策立案者らが債務問題のフロンティア研究から学び、政策分析能力を高める機会を提供するため共催したもの。

冒頭の挨拶に立った財務省財務総合政策研究所の大鹿行宏所長は、人口動態の変化が年金と医療費を急激に押し上げているため、日本を含む多くの先進国と東アジア諸国で政府債務が増加している点を参加者と共有しました。さらに大鹿は、この問題に対処し財政持続可能性を確保するために日本がとっている政策措置について言及。企業債務については、バブル経済崩壊後の不良債権の増加を巡る日本の経験と、1990年代後半から2000年代初頭の企業債務問題に対する措置について語り、これは今日他国にとって有益な事例であると指摘しました。大鹿所長は「こうした重要問題に関する最新の研究結果を共有することは非常に価値があります」と言い、研究者と政策立案者の直接交流を奨励しました。

丸一日に渡るワークショップでは、学術研究者とエコノミスト約20人が、政府債務のデフォルトリスクがマクロ経済に及ぼす影響、政府債務のデフォルトリスクと財政政策ルール、債務再編と企業債務の解決に関する最新の研究結果を発表しました。関連機関に勤める約30人が研究発表と議論に参加しました。

閉会挨拶に立った鷲見周久OAP所長は、「我々はアジアの先進国市場及び新興市場経済における、政府債務と企業債務の重要な側面について議論しました」と言い、アジア諸国が直面する重要課題にはこのほか、通貨と政府債務の債権者構造や銀行と政府の関係などが存在すると付け加えました。「OAPは今後のワークショップにおいても、こうした問題が学術研究者と政策立案者の間で議論されることで、両当事者が適切な政策対応を見出せることを期待しています」と述べました。

今回のワークショップは、2018年に開かれた同テーマのワークショップのフォローアップイベントとして開催されました。