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日本で学ぶ大学院生たち、学生エコノミストとしてIMFの経済審査を体験
[2020年1月10日、東京] アジア、アフリカ、ヨーロッパ出身の大学院生を中心とした若者30数人が今日、国際通貨基金(IMF)アジア太平洋地域事務所(OAP)が開いた一泊二日の研修で、学生エコノミストとして模擬経済審査に挑戦し、ブラジル、イタリア、韓国に対する政策提言を体験しました。
模擬審査は、国際協力機構(JICA)と共催した第8回IMFエコノミスト養成プログラムの目玉。同プログラムは、IMFのエコノミストが加盟国の経済審査をどのように行なっているかを紹介するものです。
二日間のプログラム期間中、21人の学生がJICA東京センターに集まり、現在日米の大学で教鞭を執る元IMFエコノミストのジェラルド・シフから、IMFのマクロ経済枠組みの概要と、トルコとモンゴルの事例への応用を学びました。また同講義は、初めての試みとして広島大学に生中継され、柿中真教授のもとで学ぶ大学院生14人が遠隔参加しました。
「ファイナンシャル・プログラミング及び政策(FPP)」として知られるIMFの経済分析フレームワークと、同フレームワークの国別経済審査に対する適用に関する講義の後、参加者は5つの異なるチームに分かれ、各チームごとに3つの国のうち1か国の経済を分析し、一晩かけて政策提言を策定しました。
二日目には、全5チームが政策提言についてグループ・プレゼンテーションを行いました。ブラジルとイタリアの分析をそれぞれ2チームが担当したことから、活発な議論がなされ様々な視点や意見が交換されました。例えば、高額の政府債務を抱えているブラジルに対して、あるチームは債務持続可能性を向上させるために年金資金の削減を推奨しました。一方、別のチームは経済成長と税収を支えるため、財政刺激策を勧めました。また広島大学のチームは、韓国に関する事例研究を生中継で発表しました。
IMFエコノミストの仕事を模擬体験できる機会は、学生から好評を博しました。「ファイナンシャル・プログラミングの構築に関する講義は、IMFの経済に対する見方を理解する上で非常にためになり、本当に楽しかったです」と、東京大学で学ぶフランス出身のバスティアン・ギエミーノ=シモンは述べました。参加者はまた、事例研究が将来の研究やキャリアに役立つことを学んだと語りました。「マクロ経済指標に基づいた評価プロセスについて多くのことを学びました」と、東北大学のベトナム人学生、クアン・タン・トランは言いました。「普通はデータで一杯の表を目の前にしたら、まず何から始めればいいのか途方に暮れるのですが、今回、ワークショップに参加したことで、少なくともどこから手をつければいいのかが分かりました!」
IMFエコノミスト養成プログラムは、IMFの活動に対する若者の理解を深め、経済分析と政策提言に関する知識を向上させることを目的としたOAPのイニシアティブです。OAPはこれまでに同プログラムを7回開催し、26か国から140人以上の学生が参加しました。同プログラムは、IMFの能力開発局(ICD)が提供するIMFオンラインコースの入門コースとしての役割も果たしています。次回のIMFエコノミスト養成プログラムは、3月上旬に開催予定です。