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IMF、税に関する国際会議で汚職防止議論をリード
【2019年4月25日、東京】汚職がマクロ経済に及ぼす多大な影響を懸念して、国際通貨基金(IMF)は今日、東京で開かれた税に関する国際会議で、良い統治で汚職を抑制する重要性を訴え、汚職防止の議論をリードしました。
IMF-日本共催の第10回アジア諸国の税に関するハイレベル会議。まず、IMF副専務理事の古澤満宏が開会の辞を述べ、汚職によって納税者のお金が公共サービスに回らなくなり、持続可能な成長を実現する政府の能力も弱まっていると訴えました。副専務理事はさらに、IMFでは財政関連機関のガバナンスの弱さを診断するツールを提供したり、公共財政改革をデザインするお手伝いも行っていると紹介。「効率的な税制や税務管理で、公的機関への国民の信頼を回復することができる」と訴えました。
同会議はアジア諸国の税務担当官らの議論の場で、今年は、汚職抑止から国際課税まで税にまつわる様々な課題について意見交換するため、17か国から41人が参加しました。
開会の後、IMF財政局のビトール・ガスパール局長が登壇、汚職防止についてプレゼンテーションを行いました。その中で、同局長はIMFリポート『財政モニター』の最新版から主要な知見を紹介、汚職は私的な利益のための公職の乱用で、その形態にも様々なものがあると述べました。
さらに、同局長は、最も汚職の少ない国では、最も汚職の多い国と比べ、GDPで約4%も多い税収を得ていると報告。そのうえで、汚職防止に成功した二つの事例を紹介しました。グルジアでは税務の抜本的改革により20年間で税収をGDPの13%から25%に増やしました。また、ルワンダでは同様の改革により20年間でGDPの10%から16%への税収アップに成功しました。
同局長は最後に「汚職による財政への負担は少なくない。汚職防止は多大な利益をもたらす」と述べ、発言を締めくくりました。
同会議は2009年にIMF財政局と日本の財務省の共催で開始され、これまで毎年東京で開催されています。
写真:汚職防止など税制と税務に関する議論を前に、記念撮影するアジアの税務担当官ら(2019年4月25日、東京)