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中国の成長減速に対する政策提言を日本で共有

[2019年11月11日、東京] ケニス・カンIMFアジア太平洋局副局長が、東京で開かれた経済セミナーに登壇し、貿易ショックに応じたマクロ政策の調整や、国際貿易制度の強化、ディリスキングとリバランスの改革継続が、成長の減速が続く中国の政策的優先事項であると述べました。

カンはIMFの対中国経済審査のハイライトを紹介し、世界貿易の緊張と国内の脆弱性を受け、中国の見通しは依然として不透明であると語りました。国内改革を進め、貿易緊張を緩和することは、中国の成長見通しと世界の他地域への波及効果を高めるために重要になる、とカンは付け加えました。

2019年の対中国第4条協議に関する同セミナーは、IMFアジア太平洋地域事務所(OAP)が開催する経済セミナーシリーズの一環で、IMFの知的財産を一般に広く共有しています。

同セミナーでは、カンは8月に実施された年次経済審査、いわゆる第4条協議だけではなく、10月に公表された「世界経済見通し(WEO)」の最新スタッフ予測からも、重要な調査結果を発表しました。カンは、貿易緊張が生じる以前から、中国の成長は鈍化しており、人口統計と生産性の結果として、成長はさらに徐々に減速するとIMFは予測していると説明。従って、貿易緊張への対応に加えて、市場の開放を加速し、消費を増やし、国有企業改革を促進することが重要な政策提言であると述べました。

プレゼンテーションを受け、財務総合政策研究所の小枝淳子・総括主任研究官が、、分析的観点から中国のリバランスと、日本を含む他国への貿易緊張の波及効果に焦点を当てたコメントをし、それらの長期的影響について質問を投げかけました。カンは、IMFは今般、技術の普及の減速や非効率な資源配分を鑑み、長期的にはより関連性があると考えられることから、貿易緊張の「生産性」への影響も調査していると答えました。

同セミナーには、官公庁、シンクタンク、大学、企業、メディアなど、官民両部門から80人以上が参加しました。

また同セミナーでは初めて、参加者がプレゼンテーションを聞きながらオンライン上で質問を入力できるオンライン質問システムを導入、以前のセミナーでのQ&Aセッションより、多くの質問をすることが可能となりました。一部の参加者は、中国の統計データの信頼性や国営企業の改革、住宅市場の見通しを巡る懸念を共有しました。また、貿易緊張が世界のサプライチェーンに与える影響について質問した人や、中国の外部融資に対する新たな債務持続可能性の枠組みについて疑問を呈した参加者もいました。