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中国債券市場の展望についてIMFの近刊本編集者が紹介
[2019年7月17日、東京] – 中国の債券市場と展望に関する近著から主要な点を紹介しようとIMF経済セミナーに登壇した中国経済専門家は今日、今後、中国債券市場はますます重要な役割を果たすだろうと指摘しました。
近刊本『中国債券市場の未来』の主要著者・編者であるアルフレッド・シプキ氏と張龍梅氏は、グローバル・アウトリーチ活動の一環として今回来日。両者は現在北京に拠点を置く中国経済の専門家で、シプキ氏はIMF北京駐在事務所主席代表を務め、張氏は副代表としてその業務を補佐しています。
シプキ氏はまず中国債券市場の現状を紹介し、中国債券市場は国内外でますます重要な役割を果たすようになるだろうと述べました。さらに、中国債券がグローバルインデックスに組み入れられたことは、金融統合にとっての礎石であり、政策立案者や投資家にとって、大きなチャンスと課題をもたらす点を強調しました。シプキ氏はまた、「LGFV(local government financing viechle、地方融資平台)」によって発行された債券が、世界的な金融危機と中国の大規模な景気刺激策を受けて急騰したことについても言及。LGFVは、中国のほとんどの地方政府が直接資金を借用することが禁じられているために、地方政府が資金調達するために設立した投資会社であると説明しました。最近になり、中国政府が地方政府とLGFVとの間に認められる繋がりを断ち切るために、規制を強化している点にも触れました。
将来を見据えて、シプキ氏は中国債券市場には大きな可能性があると指摘。中国政府が市場を更に発展させ、開放することを発表したとともに、グローバルインデックスへの政策銀行債の組み入れなど、政府による金融包摂への取組によって、外国投資家の中国市場への関心が高まっていると述べました。
張氏は中国のクレジット債や近年の発展・改革に関する詳細を紹介しました。張氏は、鍵となるポイントの中で、外国投資家が依然として税の不確実性と規則の不明瞭性を障害だと指摘している点を強調。債券市場をさらに発展させるために、流通市場の流動性を促進し、暗黙の保証を排除することが重要だと述べました。これらの改革を進めることで、中国債券市場の明るい未来は約束されるだろうと語りました。
出版物に関するプレゼンテーションの後、財務総合政策研究所の小枝淳子・総括主任研究官であるは、分析的観点からコメントをし、マクロ要因と債券リスクの関連性について質問を投げかけました。
本セミナーは、IMF経済セミナーの一環として開催されました。これは、IMFアジア太平洋地域事務所が主催する公開セミナーシリーズで、IMFの活動をより多くの人々と共有することを目的としています。今回のセミナーには、政府職員やエコノミスト、市場アナリスト、ジャーナリストなど、官民両部門から100人以上が出席しました。
プレゼンテーションに続き会場では、出席者と登壇者の間で活発な質疑応答が交わされました。一部の参加者は、地方債と地方国有企業債という二種類の債券の存在、及び企業債の規制強化の必要性をめぐる懸念を共有しました。また、中国の金融セクターの世界金融市場への統合の影響と、グローバルな市場に対する現在の中国の開示基準の評価について言及する出席者もいました。
『中国債券市場の未来』はオンライン上で閲覧でき、IMFウェブサイトからのダウンロードが可能です。日本語版は、日本証券経済研究所によって来春発行予定です。