財政政策はインフレ緩和と最脆弱層保護に貢献できる
IMF Blog, April 3, 2023
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- 財政政策はインフレ緩和と最脆弱層保護に貢献できる
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- Authors: Vitor Gaspar, Carlos Eduardo Goncalves, Paolo Mauro, Marcos Poplawski-Ribeiro
- Published: April 3, 2023
概要
- 賢明な財政政策は、物価安定性の回復と生活費危機の影響緩和に寄与しうる。
- 物価上昇率はここ30年で最大の伸びを示しており、政策担当者は各層の人々がインフレからどのような影響を受けるかを理解する必要がある。
- 2023年4月版「財政モニター」では、2021年半ばから2022年半ばにかけての(想定外の)インフレが人々の厚生に及ぼした影響を分析している。この期間には、他の物価よりも早期かつ急速に、食料・エネルギー価格が上昇した。
財政への影響
- 想定外のインフレによって、政府債券の実質価値が低減し、債券保有者に不利益が生じている。
- 債務が対GDP比で50%を超過している国では、想定外のインフレによって、その上昇幅の1%ポイントごとに、公的債務が対GDP比で0.6%ポイントずつ減少し、その影響が何年間も持続する。
- ただし、インフレが持続し、その予期性が向上すると、公的債務対GDP比の減少への寄与は見られなくなる。
- 財政赤字の対GDP比は、インフレ初期には低下する。これは、名目(時価)GDPの増加と比べて、歳出増が遅れるためである。だが、この財政赤字への効果は、公的債務への影響と比べても、より速く消失する。
家計への影響
- 6か国(コロンビア、フィンランド、フランス、ケニア、メキシコ、セネガル)の数千世帯を対象とした公的調査に基づくと、2021年半ばから2022年半ばのインフレは、主に3つの経路を通じて市民に影響を及ぼした:
- 消費パターン変化
- 賃金・年金・給付からの収入
- 資産・負債
- 調査からの主な発見:
- 食料価格上昇の加速は、他の価格上昇よりも、貧困世帯に不釣り合いに大きな打撃を与える。これは、貧困世帯にとって食料の消費全体に占める割合が相対的に高いためである。低所得国において特に顕著だった。
- 一次産品輸入国では、どの所得層を見ても、賃金の伸びが物価上昇に追いつかず、実質所得が減少した。
- インフレは資産と負債の名目価値を損なうため、純負債を抱える世帯が得する一方で、債権者に不利益が生じた。これは金融市場・信用市場が発展した国で顕著であった。
- 物価上昇による富の再分配効果は、世帯主の年齢によっても異なった。若い世帯は資産よりも債務が多いため、富の経路を通じて利益を得ている一方、年配世帯の富は減少した。
弱者保護とインフレ抑制の両立(政策示唆)
- 財政政策は金融政策を下支えできる。これは、財政政策も総需要に影響を及ぼすためである。
- 統計的エビデンスから、過去数十年間に財政政策がインフレに及ぼす影響が変化している点が示される。先進国については、1985年以降、財政支出を対GDP比で1%ポイント減らすと、物価上昇率が0.5%ポイント下がっていることがわかる。
- モデル分析の示唆:所得・消費・保有資産の格差を考慮した経済モデルでは、中央銀行が単独で動く場合、インフレ対策として大幅な利上げが必要となる。財政の引き締めによって、インフレ抑制を目的とした利上げ幅を縮小させることが可能になる。
- ただし、貧困層を守るためには、優先度の低い歳出の削減または増税に伴い、給付拡大を図る必要がある。この戦略は、貧困層の消費を減らさないだけでなく、総消費の縮小幅を縮める効果も持つ。
出典:2023年4月版「財政モニター」を基にしたページ「財政政策はインフレ緩和と最脆弱層保護に貢献できる」