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今週のチャート

世界が気温目標を達成するには、メタン排出量を減らさなければならない

料金制度は有望で実用的な解決策である。採掘産業や農業で一般的な既存の事業税を土台にしたものは特に有望だ。

各国は、地球の気温目標を達成し、気候不安定化のリスクを抑えるために、温室効果ガスの排出量を大幅に削減する必要がある。化石燃料を燃やすことによって発生する二酸化炭素(CO2)に最も注目が集まっているが、メタンはCO2よりも短期的な温暖化効果があり、メタン排出量を削減する方が気候により直近の影響を与えるため、メタン排出量を削減することも重要である。

パリ協定の中心的な目標は、地球温暖化を摂氏1.5〜2度に制限することだ。今週のチャートが示すように、目標を達成するには2030年までに世界の温室効果ガスを2019年の水準から25%~50%削減しなければならない。メタン排出量を削減することで、大気中の温室効果

IMF

ガスの「ストック」を減らし、気候変動が不可逆的に進行する転換点(ティッピング・ポイント)に達する非常に恐ろしいリスクを低減することができる。これは、CO2が大気中にとどまる期間が最長1000年であるのに対し、メタンは平均して12年間であるためだ。

産業化以降の地球の気温上昇は約30%がメタンによるものだ。排出量は昨年、2年連続で記録的なレベルで増えた大半の国は、パリ協定の一環として、メタンを含む温室効果ガスの総量を削減することを約束した。さらに、125か国が 国際メタン誓約に署名した。しかし、政策は言うまでもなく、コミットメントは依然として必要な水準に達していない。

メタン排出量を削減する低コストな分野は、大半が採掘産業にある。ガス管の漏れを直すことや、油井・炭鉱からのフレアの抑制、販売または後に使用するためのメタンを回収する技術の設置などである。

農業からのメタン排出量は、農家が家畜よりも植物性の食品を生産したり、より生産性の高い牛の品種に切り替えたりすることで削減できるだろう。ごみ廃棄場でもメタンを回収できる。

メタン料金

メタン料金は、 今週発表された気候に関するスタッフノート示されているように、特に採掘産業や農業で一般的な既存の事業税を土台にしたものである場合、有望で実用的な手段であるこうした課税は、採掘部門や、場合によっては農業で一般的である。

理想的には、競争力を損なうとの懸念を抑えるために、収益に中立な方法で料金が導入されるべきだ。これは、ビジネスの他の部分に対する税金を下げることによって実現できるだろう。別の選択肢は、排出量が平均強度を超える生産者に高額の料金(フィー)を課し、平均以下の生産者に払戻し(リベート)する「フィーベート」制度だ。

排出量の監視における課題を考えると、デフォルトの排出率に基づいて料金が課され、自社の排出量がデフォルトよりも少ないことを示すことができる企業にリベートすることになるだろう。

大規模な排出者に対し、CO2換算でトンあたり70ドルのメタン料金を世界で導入すれば、地球温暖化を2度未満に保つレベルまでメタン排出量を削減することができるとわれわれは推定する。

メタンの最低価格に焦点を当てた国際的に調整された取り決めは、排出と競争力の観点から効果的である。この取り決めは、当初、国際メタン誓約に署名した主要国から始めることができる。

しかし、メタンプライシングのコストは、特定の新興市場国と発展途上国に偏るだろう。差別化された価格設定と国際支援がこうした取り決めの重要な要素であるべきであることを意味する。