IMFがデータの透明性の向上に貢献している方法

一国の経済に関する明確で信頼性があるタイムリーなデータを保持し、公表することは、政府が健全な経済政策の決定を下すうえで役立ち、また、これによって国民が政府の責任を問うことができます。データの透明性はまた、政府の経済運営の信頼性を高め、市場参加者やその他の投資家による意思決定を促進し、究極的には経済の成長を支えます。

各国データの透明性を高めるためのIMFの手法のひとつが、経済および金融データの自主的な公開に関する基準を設定することです。IMFデータ基準イニシアティブは、各国が主要な経済データをタイムリーかつ規律ある形で公開することを奨励しています。1996年の開始以来、ほぼ全IMF加盟国が参加するようになりました。参加加盟国は同枠組みの下、強化された一般データ公表システム(e-GDDS)、特別データ公表基準(SDDS)、およびSDDSプラスという3つの層に別れています。各国の能力に合わせて調整され、データ公表の要件と推奨事項が層によって徐々に厳しくなります。

この枠組みは長年にわたり、各国の政策の優先順位とデータのニーズの展開に適応しており、定期的にIMF理事会が評価(最新が2022年)してきました。変わりゆくデータのニーズに対応するため、公的債務と気候変動、ジェンダーに関連するデータの詳細な情報など、いくつかの変更を加えてきました。

DSBB website

IMFのデータ公表基準掲示板(DSBB)は、各国が基準に基づいてデータを公開するウェブサイトである国別要約データページ(NSDP)の情報とリンクがあります。

DSBBへ

E-GDDS

強化された一般データ公表システム(e-GDDS)は、データ基準イニシアティブの第一段です。各国のデータの透明性を改善し、統計の発展を奨励し、データの公表とサーベイランスの相乗効果を生み出すことを支援するために2015年に導入しました。そうすることで、データ共有の効率を上げるほか、能力開発とドナー支援を優先するために重大なギャップを特定することができます。

多くの国が、重要な経済データを公表し、次の段であるSDDSに進むための枠組みとしてe-GDDSに参加しています。2022年末時点で、112か国がe-GDDSに参加し、そのうち73か国がNSDPを通じてデータを公開しています。まだデータを公表していない国の半数以上は脆弱国であり、IMFはこれらの国がe-GDDSを完全に導入することを支援するために取り組んでいます。

IMFの調査 によると、各国がe-GDDSを実施したり、SDDSを取り入れたりすると、ソブリン債のスプレッドが大幅に縮小します。データの透明性の向上は、借入コストの削減につながるのです。

SDDS

特別データ公表基準(SDDS)は、国際資本市場へのアクセスを求めている、または求める可能性のあるIMF加盟国の指針となるように1996年に設立しました。各国への推奨公表基準を示すe-GDDSとは異なり、SDDSの下で各国は、データ公開のための所定の要件を遵守することを自発的に約束します。SDDSを採用していることは、国が「良好な統計」基準を満たしていることを示します。

 

 

SDDS good practices
1. データの網羅性、周期性、適時性 | 2. 一般市民のデータへのアクセス | 3. データの完全性 | 4. データ品質

採用国とユーザーのためのSDDSガイドは、採用国が遵守するコミットメントについて詳しく説明しています。

 

採用国のコミットメント:

規定された網羅性と周期性、適時性で必要なデータをNSDPに公表します。


規定されたデータカテゴリごとに、当月および少なくとも向こう3か月のリリース日を含む リリースカレンダーをIMFに提供します。


自国の統計慣行またはメタデータに関する詳細情報を提供し、DSBBに掲載します。メタデータは、各国の経済および金融データの品質を評価するためにIMFが開発した データ品質評価フレームワーク(DQAF)の厳密な形式に従います。


メタデータの正確性を毎年証明します。


SIDSS plus

SDDSプラス

SDDSプラスは、IMFデータ基準イニシアティブで一番上の段です。世界金融危機の際に特定されたデータギャップに対処するために2012年に設立し、データの普及を通じて国内および世界の金融の安定を支援し、国際資本市場で主要な役割を果たす国を含めることを目的としています。SDDSプラスは、国際通貨システムの機能に不可欠なシステム上重要な金融セクターに焦点を当てています。

すべてのSDDS採用国が、SDDSプラスを遵守できます。これには、国がSDDSプラスを採用した日から5年以内に、完全に遵守することを約束するデータカテゴリの追加要件が含まれています。

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更新は 2023年4月でした