IMFと世界銀行

国際通貨基金（IMF）と世界銀行は、加盟国の生活水準を向上させるという目標を共有しています。
IMFと世界銀行は、この共通目標を達成するために互いに補完しあうアプローチをとっています。IMFがマクロ経済と金融の安定に重点を置き、世界銀行が長期的な経済発展と貧困削減に集中して取り組んでいます。

詳細はこちらの動画で。IMFと世界銀行の違いとは

What is the difference between the IMF and World Bank?

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共通のルーツと目標

IMFと世界銀行は、1944年7月に米国（ニューハンプシャー州ブレトンウッズ）で開催された国際会議で創立されました。この会議で、より安定した世界経済の繁栄を目指す経済協力の枠組みが構築されました。これは、今でもIMFと世界銀行の重要な目標です。その一方で、経済的発展と課題に対応して両機関の任務は常に発展し続けています。

IMFのマンデート

IMFは、世界規模でのマクロ経済と金融の安定を促すほか、加盟国に対し経済を強化し安定させるための政策助言と能力開発支援を行っています。IMFは、国際収支上の問題を抱え対外債務の返済が困難になっている国に対し、短期・中期融資を提供しています。IMF融資の主な財源は加盟国のクォータです。IMF職員の多くが、マクロ経済・金融政策分野で豊かな経験を持つエコノミストです。

世界銀行のマンデート

世界銀行は途上国に対し、学校建設と水・電気の供給、感染症対策、環境保護といった改革やプロジェクトの実施に必要な技術・資金援助を行うことにより、長期的な経済発展と貧困削減を促します。世界銀行は主に長期的な支援をしており、その財源は加盟国の拠出金と世界銀行債の発行により賄われています。世界銀行の職員の多くが、気候や教育といった特定の課題・分野の専門家です。

IMFと世界銀行の協力

IMFと世界銀行は、1989年の合意とその後構築された枠組で定められた条件に従って、加盟国への支援を行うために日頃から以下のような協力をしています。

	ハイレベルの協調世界銀行とIMF総務会の年次総会では、各加盟国の総務が国際経済・金融が直面する問題についての見解を示し、これらの問題にどう対応するかを決定します。IMFと世界銀行の総務で構成される開発委員会は、両機関に対し低所得国の経済発展の促進について勧告します。
幹部間協議 IMF専務理事と世界銀行総裁は定期的に会合を開き、重要な課題について話し合っています。両者は共同声明を発表し、ときには共同で論文を執筆し、一緒に地域・国を訪問することもあります。IMF筆頭副専務理事,と世界銀行専務理事も定期的に会合を開き、各国の状況や政策課題について話し合っています。
	職員間の協力 IMFと世界銀行の職員は、加盟国への支援と両機関に関わりのある課題について緊密な協力をしています。各国の全般的な経済状況と政策に関するIMFのアセスメントは、世界銀行が今後の開発プロジェクトや改革を評価するうえで参考となります。同様に、構造的改革・セクター別改革に関する世界銀行の勧告は、IMFが政策助言をする際に参考となります。両機関の職員は、それぞれの融資プログラムの政策内容を決定するうえでも協力しています。

IMFと世界銀行は以下の分野で協力しています

金融安定性の評価加盟国が確実に強靭性を構築し十分な規制を設けるようにするため、各国の金融安定性を評価します。金融セクター評価プログラム（FSAP）は、各国の金融システムの強みと脆弱性を特定し、適切な政策対応を勧告します。

債務負担の縮小 重債務貧困国（HIPC）イニシアティブとマルチ債務救済イニシアティブ（MDRI）に基づき、最重債務貧困国の債務負担の縮小に取り組んでいます。IMFと世界銀行の職員は、両機関が開発した債務持続可能性フレームワーク（DSF）に基づいて、対象国の債務持続可能性を共同で分析します。　

気候変動.各国が気候変動に適応し強靭性を構築することを支援するために、IMFと世界銀行は2017年に共同でパイロット版の気候変動政策アセスメント（CCPA）を発表しました。これは、脆弱で能力が制約されている小国に対し、準備態勢やマクロ経済的影響、緩和策、適応性、資金調達戦略のアセスメントを提供するものです。