クォータは、IMFの財務・ガバナンス構造の基本となる構成要素です。各加盟国のクォータは、世界経済における相対的地位を概ね反映しています。クォータは、IMFの会計単位である特別引出権(SDR)で表示されます。
IMF総務会は、少なくとも5年に一度、クォータの一般見直しを行います。クォータの一般見直しでは、クォータ増額の全体的な規模と加盟国間での増額分の割り振りの2点が主に取り上げられます。
第一に、IMFはクォータの一般見直しを通じて、加盟国の国際収支上の資金調達ニーズと、そうしたニーズの充足を支援するIMFの能力という二つの観点から、クォータが十分であるかどうかを評価することができます。次に、一般見直しを通して、各加盟国のクォータを、世界経済におけるその国の相対的地位の変化を反映するように増額することができます。さらに各加盟国は、一般見直し時以外にもいつでもクォータのアドホックな調整を要請することができます。
総務会は、増額が必要であると判断した場合には、全体の増額幅と加盟国間での配分方法について検討します。クォータのいかなる変更にも総議決権の85%の賛成が必要であり、また、加盟国のクォータを当該国の同意なしに変更することはできません。
世界経済における各加盟国の相対的地位を評価するために計算式が用いられており、それはクォータ増額分を配分する際の指針としての役割も果たします。現行の計算式は2008年に合意されました。
IMFのクォータおよびガバナンスの改革パッケージの一環として第14次クォータ一般見直しが行われ、2010年に完了し、2016年に発効しました。この改革は、活力のある新興市場国・発展途上国が果たす役割の増大をIMFのガバナンス構造により良く反映させる方向に向かう重要な一歩となりました。
2020年には第15次クォータ一般見直しが終了しましたが、クォータの増額は行われず、第16次見直しに向けた指針が提示されました。現在、第16次見直しが進められており、2023年12月中旬までに完了する見込みです。
前回の更新は 2022年10月でした