2020年6月号 英語版
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ジェフリー・フリーデン
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)は、政治と経済、そしてその他の問題が交錯する様を如実に物語っいる。公衆衛生の専門家らは、ずっと前から世界が大規模なパンデミックに見舞われる可能性が高いと警告し、準備体制の強化を訴えてきた。しかし、次の選挙に集中せざるを得ない政策担当者にとって、漠然とした将来の危機の可能性に対処するために時間や資金、政治資本を投じることは難しい。そういうわけで、世界の大半は公衆衛生面で新型コロナ規模の世界的脅威に備えられていなかったのだ。
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クリスタリナ・ゲオルギエバ
新型コロナウイルスのパンデミックという他に類を見ない危機のさなか、経済がほぼ停止状態となっている中でも、私たちの暮らし方を改革し、よりグリーンで、スマートで、フェアな世界を築いていくために、政策を活用する機会はあります。
アンドレアス・アドリアーノ
貧困問題に対する世界の取り組み方を変えることを目的とする「貧困アクション・ラボ (J-PAL)」 創設者の一人であるデュフロは、J-PALのアプローチの中核をなすランダム化比較実験を「大きな問題を手に負えるサイズに、つまり正確な答えを得ることが可能な小さな問題に分解するものです」と説明する。
アントワネット・サイエ ラルフ・チャミ
新型コロナウイルスの大流行により、貧しい国も豊かな国も同様に経済が麻痺している。しかし、多くの低所得国や脆弱国では、送金の減少に伴い経済ショックが増幅されることになる。送金とは、外国へ出稼ぎに行く移民労働 者が母国に送るお金のことである。低所得国や脆弱国に流れる送金は、家計を支えるライフラインであると同時に、切実に必要とされる税収をもたらすものでもある。2018年には、こうした国々への送金額は3,500億ドルに達した。これは、対内直接投資や証券投資、外国からの援助を上回っており、国外からの収入源として最大だ。こうした国々は平常時でもすでに困難を抱えているが、送金流入額の減少によって、政府への経済的、財政的、社会的なプレッシャーが高まる可能性がある。
ダニエル・サスキンド イアン・ブレマーシャラン・バロウ 他
「この危機によって、私たちが共同で営む社会の中に既に存在していた多くの不公平や脆弱性に集団的な注意が向けられた」 ― ダニエル・サスキンド 「世界が新型コロナ以前の状態に戻ることはないだろう。以前から既に進行中だった世界経済トレンドの多くがパンデミックの影響で加速されている」 ― ジェームス・マニカ 「国際支援は人類の集団としての存続がかかる問題であり、健康や、世界経済や、多国間主義の未来に対する投資だ」 ― ジーン・サルダナ 「共通の熱意や国際的な連帯をもってすれば、新型コロナウイルスを経験した世界はその成果として繁栄を共有できるはず」 ― シャラン・バロウ 「新型コロナウイルスは、世界経済に消えない痕跡を残して、数々の恒久的変化をもたらし教訓を与えることになるだろう」 ― セルジオ・リベロ 「新型コロナ危機よりもずっと前から世界秩序は流動的になっていた。パンデミック後には次の世界秩序が私たちを待ち受けている」 ― イアン・ブレマー