ファクトシート - 2009年8月

特別引出権(SDR)


SDRは、加盟国の既存の準備資産を補完するために1969年にIMFが創設した国際準備資産です。SDRの価値は主要4大国・地域の国際通貨バスケットに基づいて決められ、自由利用可能な通貨と交換することができます。この度のSDRの一般配分(2009年8月28日)並びに特別配分(2009年9月9日)の結果、SDR配分の累積総額は214億SDRから2,041億SDR(約3,170億米ドル相当)に増加する見通しです。


SDRの創出の理由と現在の利用目的

特別引出権(SDR)は、1969年に固定為替相場制のブレトン・ウッズ・システムを支援するためにIMFによって創出されました。このシステムに参加している国は、為替相場を維持する義務に従い、世界の為替市場で自国通貨を購入するために使用できる公的準備―政府または中央銀行が保有する金及び広く受け入れられる外貨―を必要としました。しかし、その重要な準備資産の2つであると米ドルの国際的供給は、世界貿易の拡大と当時起こりつつあった金融発展を支えるには不十分であることがわかりました。そのため、国際社会はIMFの監視の下に新しい国際準備資産を創出することを決めたのです。

しかしながら、それからわずか数年後、ブレトン・ウッズ・システムは崩壊し、主要通貨は変動為替相場体制に移行しました。さらに、国際資本市場の成長により、信用力のある国の政府の借り入れが促進されました。これらの結果、SDRの必要性は減少しました。

SDRは通貨ではありませんし、IMFに対する請求権でもありません。むしろ、それはIMF加盟国がもつ自由に利用できる通貨に対する潜在的請求権といえます。SDRの保有者は次の二つの方法でSDRと引き換えにこれらの通貨を入手することができます。一つは、加盟国間の自主的な交換取り決めを通じて、もう一つは、IMFが強い対外ポジションを持つ国を指定して、弱い対外ポジションを持つ国からSDRを購入させることによってです。また、SDRは国際準備資産としての役割に加え、IMFや一部の国際機関における会計上の国際通貨としての側面も保っています。

SDRの価値

SDRの価値は当初、純金0.888671グラムに相当するものと決められましたが、これは当時、1米ドルに相当しました。しかし、1973年のブレトン・ウッズ・システムの崩壊に伴い、SDRは通貨バスケットとして再定義されました。今日、バスケットはユーロ、日本円、英ポンド、米ドルで構成されています。米ドルで表示したSDRの価値はIMFのウェブサイトに毎日掲示*されています。その価値は、ロンドン市場における正午の為替相場をもとに、4通貨の特定金額を米ドルに換算したものの合計として毎日計算されます。

通貨バスケットの構成は、世界の貿易及び金融制度における各通貨の相対的重要性を反映させるよう、5年ごとに理事会によって見直されます。2005年11月に行われた最新の見直し*では、財およびサービスの貿易額、IMFの他の加盟国によって保有される当該通貨建ての準備の額に基づいて、SDRバスケットの通貨割合が改定され、同改定は2006年1月1日から実施されました。次回の見直しは2010年末に予定されています。

SDRの金利

SDRの金利*は通常の(譲許的でない)IMF融資に対して加盟国に課される金利や、SDR保有に対して加盟国に支払われたり課されたりする金利、そしてクォータ出資額の一部に対して加盟国に支払われる金利を計算する際の基礎となります。SDR金利はSDRのバスケット構成通貨国・地域の金融市場の代表的短期借入金利の加重平均をもとに毎週決定*されます。

SDRの配分

IMF協定*の下では、IMFは加盟国に対しその出資割当額に比例したSDRを配分することができます。IMFはSDRの配分により利息がつかないが利払いもないコストのかからない資産を加盟国に提供します。ただし、加盟国のSDR保有額が配分額を上回る場合には、超過分に対して金利が支払われます。反対に保有額が配分額を下回る場合には当該国は不足分に対して金利を支払います。IMF協定はSDRの消却も認めていますが、現在までのところ、この条項は適用されておりません。また、IMFは自身にSDRを割り当てることはできません。

配分方法には次の二通りがあります。

SDRの一般配分:SDRの一般配分:一般配分の決定は既存の準備資産を補完するという長期的かつグローバルなニーズに基づかなければなりません。一般配分は5年毎に検討されますが、これまでに配分決定は3回実施されています。第一回目の配分は1970-72年に行われ、総額93億SDRが配分されました。第二回目の配分は1979-81年で、累計額は121億SDRに達しました。 第三回目は1,612億SDRの配分が2009年8月7日に承認され、2009年8月28日に実施されます。この度の配分により、各加盟国のSDR保有は累計でクォータの74.13パーセントに増加します。

第三回目は1,612億SDRの配分が2009年8月7日に承認され、2009年8月28日に実施されます。この度の配分により、各加盟国のSDR保有は累計でクォータの74.13パーセントに増加します。

SDRの特別配分:1997年9月、IMFの総務会はIMF協定の第4次改正案を承認し、1回限りの特別配分を認めました。その結果、SDR配分の累計額は428億SDRに倍増することとなりました。この特別配分の趣旨は、81年以降にIMFに加盟した国々―加盟国の5分の1以上に達する―がこれまで一度もSDRの配分を受けていなかったという状況を是正し、IMFの加盟国すべてが公平にSDR制度に参加することができるようにするというものです。第4次改正案で示されたように共通のベンチマークを用い行われるこの特別配分により、加盟国のSDR 配分の累積額のクォータに対する割合が増すことになります。この度の特別配分では、合計215億SDR(約330億米ドル)が配分される予定です。

2009年8月10日、第4次改正は総議決権の85%を有するIMF加盟国の5分の3(112カ国)の賛成を得ることとなり、発効に至りました。それに先立つ2009年8月5日それまでに支持を表明していた133カ国に加え、米国が同改正を承認しました。特別配分は2009年9月9日に実施される予定です。


*リンク先の資料は、現在のところ英文のみ閲覧可能




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