IMF緊急支援:
自然災害および武力紛争からの復興支援
IMFは、自然災害や武力紛争により国際収支上、緊急な融資が必要となった加盟国に対し、緊急支援を行います。緊急金融支援は迅速な融資が行われるよう策定されており、政策助言や、多くの場合技術支援により補完されます。 |
IMFはどのような場合に緊急支援を行うのでしょうか?
1962年以降、IMFは、洪水、地震、ハリケーン、干ばつなど、自然災害により被害を受けた加盟国に対し緊急支援を行ってきました。この緊急融資は、輸出の減少や輸入の増加により悪化した国際収支バランスを改善し、外貨準備の深刻な減少を回避することを目的としています。
1995年、IMFの緊急支援の方針が拡大され、紛争で被害を受けた加盟国もその対象に加わえられました。この支援が適用の対象とするのは、国際収支上の緊急課題を抱える加盟国で、紛争によって包括的な経済プログラムを策定・実施する能力がそこなわれてはいるものの、政策の計画や実施を行うための十分な能力は残されていると判断される場合です。IMFの融資は、紛争の事後処理にかかわる包括的かつ国際的な取り組みの一環であることから、直接的な支援だけではなく、その触媒的な役割を通じて他の財源による支援を促進することで加盟国をサポートしています。
緊急支援はどのように提供されているのでしょうか?
緊急支援融資は通常、迅速に行われ、パフォーマンス基準の順守は条件ではありません。ただし、緊急支援を要請するIMFの加盟国は、実行案として提出した全般的な経済政策について説明する必要があります。さらに、紛争後の復興支援を要請する場合には、IMFの通常の融資制度のうちの一つの制度に基づき、より詳細な政策プログラムを策定する意思があることを示されなけばなりません。
支援は通常、IMFにおける加盟国のクォータ(出資割当額)の25%を上限としていますが、一定の状況下では50%まで提供することが可能であり、これまでにそのような支援が実際に提供されたこともあります。2004年3月には、理事会は紛争後の緊急支援を最長3年まで延長し、融資利用上限を最大でクォータの50%(ただし1年間に利用できるのはクォータの25%以下)まで引き上げる提案を支持しました。
緊急支援の融資は、基本的な手数料率*に準じ、3年3カ月から5年の間に返済するよう義務づけられています。2001年5月以降、IMFの貧困削減成長ファシリティ(PRGF)が適用対象とする紛争後の事例について、融資の利子率の補填が行われ利子率は年率0.5%へと低下しました。この利子の補填はドナー国によるグラントにより行われています。また2005年1月、理事会は自然災害に対する緊急援助についても、加盟国からの要請に基づき同様の補填を行うことに同意しました。これにより、2004年12月に東南アジアで発生した津波による被害を受けた国、及びこれまでに自然災害に対する緊急援助を受け支払いが完了していない国も、同イニシアチブの適応対象となりました。また、PRGFの融資基準を満たした国々も自然災害など外生的なショックにより、一時的な国際収支難に直面した場合、外生ショック・ファシリティを通じて譲許的融資を申請することができます。
あらゆるマクロ経済政策を対象とし、また構造的施策を支援する政策助言は、IMFの緊急支援にとって不可欠な要素です。また、紛争後の支援においては、マクロ経済政策の実施能力を再構築するうえで、技術支援も非常に重要となります。その中心分野は、統計能力の再構築と、財政・通貨・為替制度の構築や再編で、これらは税や財政支出に関する能力、決済、信用および外国為替業務の復旧に役立ちます。
1995年以降に緊急支援を受けた国
IMFが1995年以降に行った自然災害に関する緊急支援、また紛争後の緊急支援は表1および表2に示されています。
| 表 1. 自然災害に関する支援-1995年以降 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 国 | 年 | 災害の種類 | 金額(単位:100万米ドル) | クォータに対する割合(%) |
| バングラデシュ | 1998 | 洪水 | 138.2 | 25.0 |
| ドミニカ共和国 | 1998 | ハリケーン | 55.9 | 25.0 |
| ハイチ | 1998 | ハリケーン | 21.0 | 25.0 |
| ホンジュラス | 1998 | ハリケーン | 65.6 | 50.0 |
| セイントクリストファー・ネーヴィス | 1998 | ハリケーン | 2.3 | 25.0 |
| トルコ | 1999 | 地震 | 501.0 | 37.5 |
| マラウイ | 2002 | 食糧不足 | 23.0 | 25.0 |
| グレナダ | 2003 | ハリケーン | 4.0 | 25.0 |
| グレナダ | 2004 | ハリケーン | 4.4 | 25.0 |
| モルジブ | 2005 | 津波 | 6.3 | 50.0 |
| スリランカ | 2005 | 津波 | 158.4 | 25.0 |
| バングラデシュ | 2008 | 洪水 | 217.7 | 25.0 |
| ドミニカ国 | 2008 | ハリケーン | 3.3 | 25.0 |
| 表 2: 紛争後の復興に関する緊急支援-1995年以降 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 国 | 年 | 金額 (単位:100万米ドル) |
クォータに対する割合(%) | |
| ボスニア・ヘルツェゴビナ | 1995 | 45.0 | 25.0 | |
| ルワンダ | 1997 | 12.2 | 15.0 | |
| アルバニア | 1997 | 12.0 | 25.0 | |
| ルワンダ | 1997 | 8.1 | 10.0 | |
| タジキスタン | 1997 | 10.1 | 12.5 | |
| タジキスタン | 1998 | 10.0 | 12.5 | |
| コンゴ共和国 | 1998 | 9.6 | 12.5 | |
| シエラレオネ | 1998 | 16.0 | 15.0 | |
| ギニアビサウ | 1999 | 2.9 | 15.0 | |
| シエラレオネ | 1999 | 21.4 | 15.0 | |
| ギニアビサウ | 2000 | 1.9 | 10.0 | |
| シエラレオネ | 2000 | 13.3 | 10.0 | |
| コンゴ共和国 | 2000 | 13.6 | 12.5 | |
| ユーゴスラビア連邦 | 2000 | 151.0 | 25.0 | |
| ブルンジ | 2002 | 12.7 | 12.5 | |
| ブルンジ | 2003 | 13.4 | 12.5 | |
| 中央アフリカ共和国 | 2004 | 8.2 | 10.0 | |
| イラク | 2004 | 435.1 | 25.0 | |
| ハイチ | 2005 | 30.3 | 25.0 | |
| 中央アフリカ共和国 | 2006 | 10.2 | 12.5 | |
| レバノン | 2007 | 76.8 | 25.0 | |
| コートジボワール | 2007 | 62.2 | 12.5 | |
| コートジボワール | 2008 | 66.2 | 12.5 | |
| ギニアビサウ | 2008 | 5.7 | 25.0 | |
| レバノン | 2008 | 37.6 | 12.5 | |
| コモロ連合 | 2008 | 1.7 | 12.5 | |
| ベリーズ | 2009 | 6.9 | 25.0 | |
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